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ページ29

コンコンコン

ノックを3回鳴らし、先生を呼ぶ

名前を告げると、驚いた声で先生が返事をした


柊「A…なんで…?」



相変わらず私の視線は先生の足元



「先生…も…怪我してたので…

一応治療、手伝ったほうがいいかなって…」


柊「…優しいな、お前は」




失礼しますと小さく呟き、キョロキョロと中を見渡す


柊「悪い、そこに救急箱があるんだ

取ってくれるか?」


「は、はい…」




中から包帯や消毒液を取り出し、先生を手当てする




柊「…うまいな、A」

「え…初めてです…」

柊「器用だもんな」

「い、いえ…そんなことは…」




沈黙




距離は近いけれど、私の視線は先生の頭にしか向いていない




「先生…どうして…私に…優しくしてくれたんですか…?」



…これは、ずっと気になっていたことだった

なんで…私なんかを…?




柊「俺は景山に “ お前のことを頼む ” って言われたんだ」


景山さんが…?先生に…?



柊「 “ いつも抱え込んでて、儚くて、消えちゃいそうで…

でも、誰よりも他人のことを考えられる



不安なんです、私

いつか、Aが本当に消えるんじゃないかって ”

“ 先生、Aを助けてあげてください ”

こう景山は言ってたぞ」


「そう…ですか…」


知らなかった…


でも…私も不安だった

その不安は現実になってしまったけれど…




柊「…俺もお前が消えそうで怖い」



ためらうような口調で、でも迷いなく先生が言い切った


はっとして先生を見つめる



柊「やっと目が合ったな」

「あ…すみません…」



ふわりと優しく、私がよく知る笑い方で先生は笑った


少しほっとする



柊「…ありがとな、A

そろそろ教室に戻れ」


「…はい、失礼します」




軽く頭を下げて、美術室から出ようとした




柊「A!」



名前を呼ばれ、振り返る



「…はい、なんですか…?」


柊「お前は…優しいけれど、脆い

そのことをちゃんとわかっておけ

…無理をすると、壊れるぞ」



前までの先生に戻ったみたいで

なんだか少し嬉しくて

ふにゃりと下手な笑顔が勝手に溢れた



「…はい、努力します」

柊「…あぁ、いい顔だ」




私は静かに扉を閉めた

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sei(プロフ) - 楽しんで読ませてもらってます!私にもその文才欲しいくらいです。・゜゜(ノД`) (2019年3月21日 17時) (レス) id: cd07a6348c (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - 諸行無常系女子さん» ありがとうございます!頑張りますね( ̄^ ̄)ゞ (2019年3月18日 18時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
諸行無常系女子 - 楽しく読ませてもらってます!これからも頑張ってください(*^o^*) (2019年3月18日 14時) (レス) id: 30d23c8fcb (このIDを非表示/違反報告)
バボちゃん(プロフ) - ラビットさん» ありがとうございます!ラビットさんのお言葉、とっても励みになります! (2019年3月17日 23時) (レス) id: f818c9f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ラビット(プロフ) - ものすごく面白くて続きが気になります!更新頑張ってください! (2019年3月17日 19時) (レス) id: 80ad6ef553 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:バボちゃん | 作成日時:2019年3月14日 20時

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