風牙の都 ページ3
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立ち止まることなく走り続け、
漸く風牙の都の門が見えてきた頃にはもう陽が落ちた後だった。
懐かしい人影が見えた途端、
私はやっと安否の溜息を吐く。
「A…？Aかっ！？」
『よっ、テウ久しぶり
今日は真面目に門番してるんだね』
近くに寄って片手を挙げれば、
彼は驚いた表情から一変して怒ったように眉間に皺を寄せる。
「何を陽気に！
俺等はずっと心配してた…って、その左腕っ！」
『ああ、大したことないよ。
ちょっと木の枝で掠っただけ…』
って、こんな嘘通用しないか。
真っ白の筈の包帯には紅い血が滲んでいる。
『あれ、それよりヘンデは？』
「っ…、ヘンデの事より、今すぐ包帯変えないと！
バイキンはいっちまう」
『門番は？』
「それどころじゃないっ」
自分の役割をすっぽかして、
テウは私の右腕を引いて治療の部屋を目指す。
いっつも緩いくせにこんな血相を変えるなんて珍しいな。
なんて思いながら、懐かしいこの都をキョロキョロと見渡す。
3年前と何も変わってない…
此処はやっぱり安心する。
『あっ、それよりハクは来てない？』
「ハク様なら今朝、赤毛の姫さんとここを出てったよ」
『…っ！？』
嘘…でしょ？
てっきり、ここに来れば会えるかと。
ハクなら一番安全な場所に姫様を匿うと思っていたのに、どうして…
『どこに向かったか知ってる？』
「いや、俺は知らな…「神官様のところだ」
「ムンドク長老！？」
『じっちゃん…っ！』
突然現れたじっちゃんを目にし、
急に安心感に包まれて思わずその胸に飛び込む。
「おぉっと」
「あっ！ちょっと！先に包帯変えないと！」
じっちゃんは私を微笑みながら受け留め、
テウは呆れた様に駆け寄ってくる。
気を抜いた瞬間、
なぜだか止めどなく涙が溢れ出た。
『じっちゃ…ん、イル陛下…が
わたしっ…』
「ああ、もう話は聞いている。
Aはハク達を追いかけてここにきたんじゃろ」
『…うん』
「なら、中で話そう」
そう言ったじっちゃんは、
ゆっくり私から離れると皺の寄った親指で私の涙を拭う。
そして、ぽんぽんと私の頭を撫でた。
「テウ、治療の道具を持ってきてくれるか」
「はい」
指示されたテウが、
私達の元を離れて先に行く。
それを見送りじっちゃんを見上げると、
「よく、頑張ったな」
なんて私を再び抱きしめた。
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桜彩 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2021年8月16日 14時) (
レス) id: 24c86a42de (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2018年11月8日 23時) (レス) id: 161c6e3e4c (このIDを非表示/違反報告)
chiaki3624ykc(プロフ) - 続き、みたいです。 (2018年3月21日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
紅姫 - 面白かったです｡小説の続き早く読みたいです｡ (2016年12月22日 18時) (レス) id: 00b831eeb6 (このIDを非表示/違反報告)
睦月 雪(プロフ) - すっごく好みの作品です！更新頑張ってください！楽しみにしてます(*^^*) (2016年5月13日 15時) (レス) id: 3701746fb2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：呉羽
| 作成日時：2015年2月28日 16時
