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伊月が教室に入ったのと同時ぐらいだろうか。



廊下で大きな物音が聞こえた。



音のしたほうに視線を向けるとノートが散乱していた。



日向は足元に落ちている一冊ノートを拾い上げた。



ノートのタイトルスペースには"英語ノート"と書かれていた。



課題であろうノートを無理に運ぼうとしたために誤って落としてしまったようだ。



落とした生徒は慌ててすみません!と言いながらノートをかき集めていた。



少し目配せしたあと、それをバスケ部一同は手伝った。


















人助けを終えたあと、さっきと同様に教室の中を見た。



すると、思いもよらない光景が広がっていた。



さっきまで…というか彼らが見ていた限り、ずっと座っていた椅子から離れて…いや落ちたという表現の方がいいだろう。



彼女は膝を床につけて爆笑していたのだ。



クラスメイトはまるで珍しいものを見るかのように彼女を見ている。



余程面白かったらしく、彼女は目じりに涙を溜めていた。



ツボに入っている彼女と少し話をした後、伊月は皆のもとへ帰ってきた。



伊月の顔には達成感で満ち溢れている。



「…お前何やっ__」



「オレのダジャレがウケた!」



日向の言葉を食い気味に遮る。



「目的忘れたわけじゃねぇだろうな」



「いや、忘れてた。けど全然悔いはない!」



「少しはありなよ…」



妙にハイテンションな伊月に対して呆れたようにため息をつく小金井。



リコが時間を確認すると予鈴の1分前になっていた。



解散を言い渡し、その場はお開きとなった。


















結局、何の成果もあげられないまま放課後の部活時間になった。



「はぁ〜…。今年もダメだったかぁ…」



小金井は見るからに哀愁を漂わせている。



「あそこまで相手にされないと希望も何もないですよね…」



降旗、福田、河原も小金井と同様に落ち込んでいた。



見かねた日向はそんな彼らを一喝する。



「ったく…元々入部してくれるなんてわかんなかったんだ。そんぐらいで落ち込むんじゃねぇよ」



「でもよぉー…」



気分が乗っていない小金井は中身の入っていないボトルをいじる。



そんな時、体育館の扉を開ける音が聞こえた。



「火神、黒子遅かったな」



日向は驚いたように目を見張った。



まだ来ていない火神、黒子かと思ったその先には今日一日の話題の人である彼女が立っていた。



『あの…入部希望です』



彼女は少し照れたように笑った。

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作者名:パナカ | 作成日時:2024年1月4日 21時

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