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時間は進み、昼休みに入った。
屋上に集まったバスケ部はリコに経過報告をした。
「カントク、やっぱり俺たちには無理でした!」
それを皮切りに今までの休み時間のことを話し出した。
降旗、福田、河原は話しかけることは出来たが、小金井同様にいつの間にか話題が変わっており、話が変わっていることに気がついたのも自身の教室に戻ってからだったという。
黒子は声をかけたものの、影の薄さから黒子が声をかけたことに気づかず無視されたそうだ。
火神は見た目の厳つさから距離を取られ、話しかけることすら出来なかった。
気を落としている1年を横に2年は集まり会議を開いていた。
「どうする。ここまで1年がボロ負けしてるんだし俺たちでも流石に無理じゃねぇか?」
「同じ中学の黒子なら何とかしてくれると思ったけど無視されたのか……」
「次行くなら日向が行けよ。部長なんだし」
「はぁ!?こういう時だけ擦り付けんじゃねぇよ!」
朝練の時はそこそこ乗り気だった2年も今ではマネージャー勧誘に気が乗らないようだ。
そんな彼らを見てリコはため息をついた。
「…じゃあ私が行くわ」
「流石にカントクでもあの子の勧誘はハードル高いと思うけど?」
経験者は語るとはよく言ったものだ。
小金井はまるで心配するかのようにリコを見つめる。
「何も無計画で挑むわけじゃないわ。こっちにも作戦がある」
と自信満々に意気込むリコは彼女の教室へと向かった。
「無理だった…」
教室から出てきたリコの初めの言葉がこれだ。
廊下で膝から崩れ落ちた。
皆もなんとなく察していたようで、失敗したことに対して責めるような言葉は出てこなかった。
「てかカントクの作戦ってなんだったの?」
作戦の内容を特に聞かされなていなかったので、リコ以外は作戦を知らなかった。
「別に作戦っていう作戦じゃなかったの。ただ女の私ならいけると思って…」
要するにリコは彼女を侮っていたのだ。
落ち込むリコを慰める1年の隣で2年は擦り付け合いをしていた。
なかなか誰も行きたがらないの見た日向はこう言った。
「部長命令だ。伊月行ってこい」
「はぁ!?何言ってんだ!」
「お前はウチの部活の中で一番モテるからな。その顔面であの子落としてこい」
有無を言わせないような口調で日向は伊月の背中を押して無理やり教室の中に入れた。
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作者名:パナカ | 作成日時:2024年1月4日 21時