三 ページ4
…は?なにそれ。
「失礼を承知で申し上げますが、何を仰っているのですか?今は令和でしょう。それとも、僕が時間を超えてきたとでも仰るんですか」
あくまで礼儀正しく、丁寧に。
そうすれば嫌われることはない…はず。
「いいや、ここは室町時代じゃ。ここは忍術を習うために作られた学校、忍術学園なのじゃ」
そういえば、変な服装をしていた。
髪をポニーテールにしていた男の人たち。
目の前の老人は、嘘をついているようには見えない。
「…もしかして、前に僕のような人が来たんですか?」
一瞬、辛そうに顔を歪めるご老人。
「ああ、そうじゃ」
玲夜かもしれない…!
「その人はなんて名乗りましたか!?髪の毛や瞳の色は?」
「…その女は、天女と名乗った」
ああ、…違うんだ。
少し前のめり気味だった体を立て直す。
「最初はまだ良かった。事務や食堂で手伝いをしてくれて、愛想が良くて…だが、次第に上級生がその女に惚れ、自分のものにしようと争うようになった」
ぽつぽつと語られる話に聞き入る。
「天女はそれを見て笑っていた。上級生は委員会の仕事までほっぽりだすものじゃから、下級生が天女を殺し、天女の妖術を解いた」
その後も、天女と名乗る女はやってきたそうだ。
上級生に下級生を暴行させる者。
虫が嫌だからと上級生に生き物を殺させる者。
全員、先生方や下級生などが殺すことによって妖術を解いていたが、上級生と下級生の間には深いヒビが入ってしまった。
兵庫水軍という海賊の方や、他の城の忍者たちまで惑わせる、恐ろしい妖術を持つ天女。
この学園は、そんな天女を深く恨んでいる。
「天女はお主で四人目。最初の天女は苦無で刺殺し、二人目は幽閉して餓死。三人目は四肢を切断していわば拷問と呼ばれるものをした。だんだんと殺し方が惨くなっていくじゃろう、四人目の天女となればどうなるか分からん」
「お待ち下さい。僕は天女じゃないし、そもそも性別が違う。そんな奴らと一緒にしないでいただきたい」
「口だけならいくらでも言える。三人目の天女も同じことを言った」
少し口調を荒くする学園長殿。
「…まあ、天女であろうとなかろうと我々がとる手段は変わらん。浦霧 A、お主にはここ、忍術学園で事務員として働いてもらう」
「、は?…もういいや、猫被るのやーめた。それはないでしょ、僕だって好きで来たわけじゃないのにさ?天女がそれほど嫌なら、まず学園に連れ込むなよ」
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空 - 面白いです。お互い更新頑張りましょう (9月9日 13時) (レス) id: ffd33a398f (このIDを非表示/違反報告)
夜桜ほたる(プロフ) - すごく面白いです!!!更新楽しみにしてます〜!! (8月17日 9時) (レス) id: 1600cbbb8f (このIDを非表示/違反報告)
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