負け犬の遠吠え【忍たま】【天女】【男主】 (ページ14)

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十三ページ14

「ここが貴様の部屋だ」

しばらく無言で廊下を歩いたあと、立花が振り向いた。

「前の天女三人が使っていた部屋だ。待っていたら土井先生か山本先生が来るはずだ、風呂や食堂の場所を教えてくださる。くれぐれも失礼のないように」

「…ん」

「貴様が妖術を操る天女だという可能性はまだある。私は貴様を信用していない」

「安心してよ、信用してくれなんて頼んでないから」

ただ、お互いの腹を探り合う会話。

演技はせずに、ただ真実を見つけようと見つめ合う。

「だが。…少なくとも、貴様は他の天女とは違うことが分かった」

少し目元を緩め、立花はそう言った。

…どうせ僕の「愛し方」を知れば離れていく。

勝手に信用して勝手に裏切られて、勝手に被害者ヅラするなら最初から関わらなければ良い。

「…心開くの早くない？僕は君が思っているほど善い人間じゃないよ」

「心など開いてはいない。ただ、貴様も前の世界で酷い扱いを受けていたようだと思っただけだ」

「さぁ？それすらフリかもしれないよ、君が僕を哀れむように仕掛けた可能性だってある」

「前の天女と同じようなやつはそのようなことは言わん」

…忍者って頭悪そうに見えて案外鋭いんだな。

未だにバナナショックから立ち直れていない斉藤はいないものとして、立花に目を向ける。

「…はぁ、もう良い？もう部屋入りたいんだけれど」

「ああ、…言い忘れていた。前の天女三人が使っていた部屋とは言ったが、やつらはほぼ上級生の長屋に泊まっていたんだ。ここは物置きとして使われていた。化粧品や小袖などが大量に置いてある。いらなければ処分してくれ」

「ん、了解。案内ありがと、じゃね」

軽く会釈をしてから中に入って障子を閉じる。

華やかな色合いの小袖や豪華な簪、紅や白粉なんかの化粧品が山積みされている。

おしゃれしたい年頃の女の子とかって、こういうもの喜びそうだけれど。僕男だしなぁ。

全く色褪せしていない小袖や錆のかけらも見当たらない簪は、使われていない新品だと分かる。

…女の子の忍者…くノ一とかもいるのかなぁ？こんな高そうな物、捨ててしまうよりは使ってもらったほうが良いと思うんだけど…。

「て、天人様…失礼、いたします」

「ぁ、はい」

す、と障子が開けられて、女の子三人がそろっと覗く。

「あ、ぁの…シナ先生も土井先生も忙しくて、だ、だから、案内を…」

…なんでこんな怯えてるの？前の天女共何しやがったんだよ。