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目を開く。


消毒液の匂いが鼻につく。


真っ白な天井が眩しい。


頭痛も涙もどこかへ消えていて、心はすっかり軽かった。


寝転んだまま天井を見上げていると、誰かが僕の顔を覗き込んできた。


「あ!Aさん、起きた!」


「…しんべえくん」


しんべえくんの目には、溢れんばかりに涙がたまっていた。


「急に倒れちゃうからびっくりしたんですよ〜!」


「あはは、ごめんな。とりあえず鼻チーンってしようか」


鼻水をかむように促すと、後ろから「あの」と声をかけられた。


振り返ると、ポニーテールの子…きり丸くん、だっけか…が僕を不安そうに見つめている。


「あの、おれ、すいません」


「…何の事?」


「え、あの、親の話…」


「…ねえ」


きり丸くんの肩をつかんだ。


怯えたような、驚いたような表情。


「いい?僕は君から何も聞いていないし、君も僕について何も聞いていない。会わなかったことにしよう、そのほうがお互い安全だ」


「…え?」


「僕と君たちが会ったという事実は、なかったことにしよう」


じゃ、と告げて立ち上がる。


部屋を出て、馬鹿みたいに長い廊下に一歩踏み出した。


足取りが軽い。


頬がゆるんで仕方がない。


玲夜…この世界にいるんだ。


そして、会える未来はきっと近い。


会えたら、また僕を食べてくれるかな?


僕を愛してるって言って、笑ってくれるかな?


胸元のペンダントをしっかり握りしめる。


玲夜の瞳の色…白と紫の、玲夜とおそろいのペンダント。


幸せに浸っていると、急に目の前が陰った。


「あ、天女様…ああ失礼、天人様でしたね〜」


反射的にぶん殴りたくなった。


目の前に立っているのは、紫の服に身を包んだ金髪の青年。


片手にハサミらしき物、もう片方にはクシを持って立っている。


年上だろうか?


「…なんか用ですか、金髪さん」


「金髪…?あ〜…俺、斉藤タカ丸です。天人様の髪の毛、きれいだなぁ〜と思って…髪結いさせていただけませんか〜?」


「ヤです、というか邪魔なんですけど」


斉藤の横を通ろうとすると、腕を掴まれてしまった。


「え〜、良いじゃないですか」


「離してくれますか」


「髪結いさせてくれるって言うまで離しません〜」


その顔を睨みつけるが、斉藤はにこにこと笑っているだけだ。


「タカ丸さん、離してあげたらどうですか?嫌がっているようですし」


斉藤の後ろから、声が聞こえた。

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- 面白いです。お互い更新頑張りましょう (9月9日 13時) (レス) id: ffd33a398f (このIDを非表示/違反報告)
夜桜ほたる(プロフ) - すごく面白いです!!!更新楽しみにしてます〜!! (8月17日 9時) (レス) id: 1600cbbb8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:死雷夢 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年8月16日 13時

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