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☆66話☆ ページ35

貴女side


私がもごもごしてると、エリザベスに手を引かれた
部屋から出て、階段降りて。あと数段っていうところで止まった

その目で確かめる、か…
確かめてもし嫌なことになってら。いやでも、エリザベスは大丈夫って言ってくれた

どのみち降りなきゃいけないし、団長と話さなきゃいけない。先延ばししたって無駄なんだ




「A、あとは貴方が降りるだけです」

「うん……」

「どうします?」



エリザベスにここまでしてもらった。自分から相談して、そして今ここにいる

なおさら無駄にしたくない。せっかくチャンスと勇気をくれた


大丈夫大丈夫、と心の中で唱える
ふぅはぁ息を整えて、私は意を決した



「行く。もう行ける」

「その粋です!」

「ありがとう」



グッ、と両手に握りこぶしを作るエリザベスに笑いかける。他人の事でも、自分のことのように悩んでくれて助けてくれる

そんな底知れない優しさにいつも感謝している



トントントンと階段を降りる。当然だけど視線がこっちに集まり少し戸惑う


「おはようみんな」



それでもいつも通りに挨拶した
これでいいのか。これしかできない


不意に背後に気配を感じた


「よっす!おはよA!」

「ひぅっ…!」



気づいた時には団長にいつものように、いつも通りに触られていた

そう。これが普通なんだ


「団長!朝からボクのAにぃっ!!」

「ん〜っ」

「和んでるよぉ……」



同じに接してくれることに喜ぶ私
同じなことに悲しい私

どちらも本当の気持ち。本音。けど言えない




……ちゅ




突然、頰に柔らかいものが触れた
それはそう。昨日と似たような
一瞬だけ触れて、すぐに離れて溶けていく


そこがだんだん、暑くなった



「え…っ?」



今理解した
団長に、キスされたのか。ほっぺたに一瞬だけ


それでも私は嬉しくて、恥ずかしくて
きっと赤い顔のまま団長を見た



「あ、の…団長……?」

「………昨日のお返し…な?」



耳元でぽつりと囁かれる。くすぐつたくておかしな感覚

ピクリと体が跳ねて、また声が漏れた



「また団長触ったなぁ!!」

「にししっ」



どうやらみんな気づいてないみたい
団長も、何事もなかったみたいにいたずらっ子な顔してる

私はそんな彼をぼんやり見つめていた
右手でそっと頰を撫でると、そのあった部分だけほんのり暑く濡れている



それは、私の気持ちを揺さぶる材料ともなった

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ヒナ(プロフ) - 誤字が気になります (2019年7月6日 14時) (レス) id: e00283715b (このIDを非表示/違反報告)
ヒナ(プロフ) - 誤字が気になります (2019年7月6日 14時) (レス) id: e00283715b (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - アクトさん» ありがとうございます! (2019年5月21日 21時) (レス) id: 0673ec93e1 (このIDを非表示/違反報告)
アクト - お気に入りです (2019年5月21日 16時) (レス) id: 6d51c4672c (このIDを非表示/違反報告)
歩未@アニメ大好き(ノ*゜▽゜*)(プロフ) - リオさん» はい! (2016年2月6日 10時) (レス) id: d80d27525f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/rio1001/  
作成日時:2015年12月16日 21時

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