えがおのちから (ページ8)

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橙side

｢それが当たり前。こんなに苦しんでる子どもを見て、普通な親はおらんよ。｣

そう。我が子が抗がん剤で苦しんで、髪の毛も抜けて…

まだまだ経験は少ないけど、その少ない経験の中でも、なんでこんな治療しか出来ひんのやって、親御さんに責められたことだってある。

そんな治療の苦痛に頑張って頑張って耐え抜いても、助からへん命があることも、また事実で。

…やから。

｢…無理に父親やからって気負わんくていいんよ。Aちゃんはきっと、どんなお父さんでも受け入れてくれる。
っていうより、ありのままのお父さんがええんちゃうかな？｣

なんか、こんなに真剣にご家族と向き合ったのって、初めてかも。

今までが適当にやってた訳ではもちろんない。

でも、それくらい、俺の中でこの家族が大切な存在になってた。

赤｢…先生。Aのこと、よろしくお願いします。｣

改まってそういうパパさんの顔には、Aちゃんとお揃いのえくぼが戻ってきてた。

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