第57話 真っ赤なリンゴ飴 ページ10
「かー、もうやんなっちゃうよね!」
ブツブツと文句を言いながら
人ごみを抜けて神社の階段に座り
買ったたこ焼きを口に放り込んだ。
神社の階段は人がいなくて助かる。
愚痴をこぼし放題だ
「まず幸村は偉そうなんだよ!」
「へえ、俺が偉そうだって?」
「ゆ、ゆき?!」
口に入れようとしたたこ焼きが
地面に落下した
皐はだらだらと冷や汗が出てきた
同言い訳しようか、と考えていると
「ククッ、お前さんは本当に騙されやすいのう。」
「は?」
「俺じゃ、仁王雅治ナリ。」
「…」
仁王は、冗談だ。と言ってくるが
そんな冗談、二度としないで欲しい
お年寄りには心臓発作を起こすぐらいの破壊力だ。
「怖いから殺気を放つのはやめてくれんか?」
「いや、お前のせいだから。」
「仕方ないのう…良い情報教えちょるから、
その視線だけは勘弁して欲しいナリ」
どうせまた嘘だろうと思い、顔をそらすと
仁王は私の首を掴み、ある場所へと向けさせた。
「ちょ、なんだよ!」
「ほれ、あれ、見てみんしゃい。」
仁王が指をさした方向にいたのは、
明るめの茶髪で、少し釣り目の女の子
「え、仁王の彼女?!
へえ〜可愛い子」
「どうしたらそうなるんじゃ…
あいつはな_________」
仁王からは、予想外の言葉が出てきた
皐は目を丸くし、向こうにいる少女を見た
「なんだか意外…」
「ほう、意外か…じゃあそんなお前さんに、
ある話を聞かせてやるぜよ。」
そう言って、仁王は語りだした。
仁王がまだ小学生の時、
このお祭りでの出来事を__
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「ふーん。」
話は約5分程度の短いものだった。
私の反応が薄かったからか、仁王は不満そうな顔をする。
「なんじゃ、俺の話がつまらんかったか?」
「いや、つまらないとかそういう問題じゃなくてさ、
仁王は結局、その子にどうしたかったの?」
「どう?どうって………」
仁王は口ごもり、考え込む
皐は真っ赤なリンゴを一口齧り、薄暗い空を見上げる
腕時計を見ると8時20分を指していた
あと、少ししたら花火の時間だ。
「さて、と…
仁王、上に行こうぜ。」
まだ考え込んでいる仁王の腕を引き、
神社の階段を登りだす。
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月19日 17時