〜エピローグ〜 ページ47
下駄箱を出ると、
直ぐ目につく所に、幸村が立っていた。
「卒業、おめでとう、」
そう言って、
私に花束をくれた。
ピンクや、薄桃、赤色といった
ガーベラの花束を。
「なんでお前、これ持ってんだよ…」
「皐に渡そうと思って、
屋上の庭園でずっと育てていた花だよ、
ガーベラの花言葉は「希望」「常に前進」
という意味を持っているんだ。」
常に前進、ね、
ありがたい花だこと。
「本当はマーガレットを贈ろうと思ったんだけど
また乱雑にされては困るからね。」
「お前まだされ根に持ってたのかよ！」
クスクスと笑う幸村を見て、
吊られて私も笑った。
「あーあ、
皐はすぐにいなくなっちゃうんだね。」
「年が離れてるんだから、
仕方がないだろ？」
「それもそうだけど、
合宿の時だって、いきなりいなくなったりしてさ、
俺たちは、運がないのかもね。」
「運がないわけじゃ、ないんじゃない？」
「え？」
出会って別れて、
もう一度、出会う、
大嫌いが、好きになって
ルームメイトが恋人になって
中学生が高校生へ＿＿＿＿＿
「充分、運はあると思うけど？」
「……うん、とりあえずそういうことにしておくよ。」
「あ、今すごく嬉しそうな顔しただろ。」
「…してない、
ほら、写真撮影だって！」
若干頬を赤らめて、
笑う幸村の笑顔は、やっぱり可愛かった。
押された背中も、
温もりが伝わって、あったかい、
「皐ー!!
お前早くしろよ！」
「あーごめんってば！！」
雪音の怒鳴り声が聞こえて、
私は急いで列へと並んだ。
-
新たに作る道に、
地図は、捨てよう
この先の見えない道は
自分で切り開くため、歩むためのもの。
君に託された、
赤いガーベラの花を持って、
私は前へと、
踏み出した＿＿＿＿＿＿＿＿
*Fin*
〜第２部完結〜
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年10月19日 17時
