第52話 遠目の実況者 ページ5
「幸村!腕痛い!!」
ギャーギャーと騒ぎまくる皐
幸村は、無言のまま
倉庫前まで連れてきた
「あのさ」
「あ、クッキーなくなっちゃった。」
「…は?」
皐は手の中にある袋をひっくり返し
もうないや、と残念そうに言う
「うわー皐先輩…」
「空気読めさ過ぎて
幸村が固まっとる…ククッ、面白い光景ナリ」
着いて来た二人は、遠目の所から
幸村と皐の行動を見ていた
胡桃は少しオロオロした様子でいたが
仁王は今にも吹き出しそうな笑いを堪えていた
「胡桃、幸村の表情見てみんしゃい。
話をまともに聞いてもらえないから
笑顔が真っ黒じゃ。」
「皐、俺の話聞いてる?」
「えーっと、なんだ」
「はあ、もういいよ…
話にならない。」
幸村は大きく溜息をついた
この人は、話が通じないどころではない。と
「あ、幸村くん呆れてる。
珍しいね〜なんとなく写真撮っちゃえ!」
胡桃はポケットから携帯を取り出し
写真を撮った
「お前さん、それ幸村にバレたらどうなるか分かってるのか?」
「うん、それは分かってるよ〜
でもね、皐先輩の方が写真持ってるから〜」
サラリと爆弾発言。
仁王は思わず頷いたが、驚いて胡桃を二度見した
「……お前さん、常習犯か?」
「う〜ん、そんな所かな?」
何故か自慢げに鼻で笑われ、
仁王は、アホじゃのう。と呟いた
「…皐。」
「なに?“これ”は返さないけど?」
“これ”とは
さきほど幸村が上げた飴玉のこと
「いらないよ。
俺が言いたのは、そうじゃない。」
お菓子が無くなった、と
皐が騒いだため、
大人しくさせる為にあげたのだった。
やれやれ…
この調子だと、誰これ構わずに
餌付けされていそうだね
「あ、何かするかも!!」
「お前さん、声がでかいぜよ…」
後ろの二人は、
後でたっぷりとお仕置きをしなくてはね
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月19日 17時