第81話 寒い日には ページ36
クリスマスも過ぎて、約1週間____
冬場のみかんは最高に美味しい。
たまに甘酸っぱいのもあるけど、コタツの温もりが
唯一の癒し…
「って言ったじゃんか!
なのになんだこれ!」
「え?見て分からないかい?」
幸村はきょとんとした顔で
私を見下ろしている。
クリスマスの時に、
よほどこの体制が気に入ったのか、
人の後ろに座って抱きしめている状態。
ため息を付いて窓の外を見ると、
雪が降り始めていた。
初雪、だ。
「外、出てみようか。」
「え、はあ?!ちょ、ちょっと!!」
余りにも寒くて震えている皐の腕を掴み
幸村はベランダに出ると、
そっと手を伸ばして、雪を掴む仕草をする。
「明日になったらもう止んじゃってるかな…
そういえば除夜の鐘って聞いたことあるかい?
俺さ、昔に一度だけ______聞いてる?」
「あーごめん聞いてででで!!!!」
「俺の話、聞いてくれたって良いじゃないか。」
「だって寒いんだもん…
もう部屋に戻る…」
毛布に包まっている皐は
のろのろと動きながらベットに寝転んだ。
「ねえ皐、まだ12時になってないんだけど?
12時まで起きて、話をしないかい?」
「眠い…明日体調不良になるから、寝る。
父さんとも、会わなきゃいけないし。」
体がだるい皐は
掛け布団をかけて眠りの体制に入る。
しかし、幸村がそれを引っ張った。
「____なに?」
機嫌の悪い声で言うと
幸村は黙って皐の顔を覗き込む。
「寒いんだったら、俺も一緒に寝る。
皐が相手してくれないから暇だし。」
幸村は皐が抵抗するよりも早く、
布団に入ってきてしまったため、
面倒くさくなった皐は放置した。
「ねえ皐、一つ聞いていい?」
「眠いから手短に」
「子供っぽい俺は、嫌かな?」
予想外の質問に、
閉じかけていた目が開いて、幸村の方を見た。
「フフッ、いきなりなんだ?て顔してる。
皐は大人っぽいほうが良い?
それとも子供の方が良い?」
「え、あー、うーん…」
幸村が結構真面目に聞いてくるため
皐は困って、必死に答えを探す。
そもそも私の好みって____
どんなタイプなんだ?!
自分の事すら分からない皐は
だらだらと冷や汗を流すばかり。
それを見て幸村は、小さく笑った。
「やっぱ止めた。
答えは、明日の朝にでも、聞こうかな。」
ほくそ笑む、幸村。
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月19日 17時