問題児の高校生活２【幸村精市】 (ページ22)

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第６９話　純真ページ22

「この苦労、分かるー？」

肩をバシバシと叩きながら
隣の人にずっと愚痴を聞いてもらう。
「お前最近、そればかりだ。」と、
雪音にも怒られた。

「お前も苦労人だろ？
だからさ～」

「本当に俺が苦労人だと思ってるんだったら、
俺の肩を組むの、すぐさま止めてくれ！！」

隣に座るジャッカルは涙目になりながら
私の手を掴んで退かそうとする。
だけど私は、どかす気などさらさらない。

「ジャッカルもわかるだろ？！
ワカメとブタ君によくパシリされてるんだからさ～」

「いや！だから、俺の苦労が分かるなら」

「ジャッカル、汗が尋常じゃないぞ。」

先程からジャッカルの様子が変なので
顔をよく見ると、汗がだらだらと流れていた。

「＿＿＿＿＿＿ジャッカル。」

呼ばれた声に
私とジャッカルは背筋が凍った。

声の主は、ゆっくりと
静かに私の後ろまで来ると、
ジャッカルの方に回していた腕を掴んだ。

「何ジャッカルに迫ってる訳？
まさか、浮気じゃないよね？」

「な、なんでそういう方向に行くんだよ！
浮気なんてするかバーカ！！」

べえっ、と、舌を出した。
それを見て、幸村は口角を上げた。

「浮気なんて、君にはできないよね？
だって、別になにか魅力があるわけでもないし？」

頭の中で、何かが破裂する音が響いたと同時に
ベルの鳴る音がした。

「はあ？！
じゃあお前は浮気できんのか？
ま、別にしたってど」

「皐先輩、ちょーっとストップ！！」

慌てて駿河が止めに入る
皐は、口をもごもごと動かし
「もっと言わせろ！」と暴れた。

「ああ、もうっ、
なんで絶対に週１ぐらいのレベルで
ケンカを始めるんですか！」

「精市がこのあと、
俺たちに厳しい練習をさせる確率、１００％。
「皐悪い。」と、精市、お前は言うだろう。」

「柳くん、とりあえず後、
よろしくね。」

駿河は皐を部室の外へと連れ出し
テニスコートまで連れて行った。

掴んでいた腕と、口を解放してやれば
即座に不満をぶちまけだした。

「煩いぞ！静かに出来んのか！」

「うるさいなー！
ならお前が幸村どうにかしろよ！！
嫉妬深い男だと、相手が大変なんだよ！
何これ構わずにキスしてくるんだから！」

ムキになっている皐は
自分が何を言ったのかなど、何一つも気にしていなかったのだが

「き、貴様っ、そんなふ、ふし」

「お前たピュア野郎か！！」

思わずツッコミを入れた。