第６６話 いんぐりっしゅ ページ19
「＿＿＿ん？
なんだ、斎藤は今日は休みか。」
文化祭明け、
担任は空席を見つめながらため息をついた。
「ふ、ふあっ、ふあっくしょん!!!」
どでかく、女子とは思えないくしゃみが
部屋に響いた。
その度に、笑いながら部屋に入ってくる颯。
「ぷっ、はははは!!!
お前のくしゃみなんだよそれ、ちょー笑える。」
「わ、わらってんじゃ、じゃ、じゃっくしょん!!!」
「はっはっはっは!!
やべー、こいつ、超ヤベーよ焔。」
双子の兄、焔じゃ弟の颯の顔を見て
フンッ、と、鼻で笑い、皐を見れば
嘲笑う。
「失礼だろうがクソメガネ！！
ムッツリ、オープン、エスカルゴ！！」
「はあ？
エスカルゴ、意味、わかってますか？」
寝ている皐の腹に
重たい英語辞書を落とした。
「重たいっての！！それに意味知ってるし！
カタツムリだボケやろー！」
「あの人、元気だな。」
「マジで超面白いよなー。」
部屋に1人になった皐は鼻をすすり
布団の中でくるまった。
「ちくしょー、これはすべて幸村のせいだ！」
あの日、
幸村は皐を特別棟に連れ込んだ。
「脱いで。」
「は？」
聞き間違い。かと思い
間抜けな声が出てしまった。
「だから、その服脱いで。」
「い、いやいやいや！！
無茶言うなよ！」
「へえ、俺の言うこと聞けないんだ。」
じりじりと、皐と距離を詰め
隙ができると腰を掴まれ
動けなくなってしまった。
「止めろ幸村！」
「そんな格好、やっぱり禁止。」
「だから、服持ってないんだよ！！」
ピタリ、と、幸村な動きが止まった。
止めてくれたのかと思い、
幸村の顔を覗き込もうとしたが、
手遅れだった。
「寧ろ何も着てない方が良いんじゃ無い？
男だって寄り付かないだろうし。」
「はあー？！無茶苦茶言うな！！
っだから、何も着るもの無いんだよ！！」
着ていたロリータ服を
幸村は皐の抵抗を物ともせず、
易々と脱がしてしまった。
「……なんだ、服着てるんじゃん。」
「ったり前だろうが！！
つーか、上が寒いんですけど？！」
「知らない。
じゃあね。」
「え？！お、おい！」
幸村は教室を出て行ってしまった。
手にはロリータ服を持って。
皐は魂が抜けた様に
その場に固まってしまった。
服を着ているとはいえ
薄手の半袖に下は短パンだ
しかも、特別棟には日があまり射さない。
「寒い……」
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年10月19日 17時
