問題児の高校生活２【幸村精市】 (ページ2)

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第４９話　不幸中の幸いページ2

立海の高等部
４階の窓側の席に座る一人の青年が
何度目か分からない溜息を零した

「どうした精市。
元気がないようだな。」

「柳…」

柳は幸村の隣に立ったまま、
メモ帳を広げて何かを書いていた

幸村は、ぼうっと外を眺めながら
ぼそぼそと呟く様に

「普通の恋人って、
どういう人たちかな？」

「恋人？」

言い終わったあと、幸村はまた溜息をつく
柳は小首を傾げ、ああ、あれか。と納得

「俺には皐が理解できないんだ。
どうして、どうしてあんな＿＿＿＿＿」

「あんな可愛いのかって？
いやー、それは嬉しいな。」

「……なんでここにいる？」

幸村の目の前には
今から話そうとしていた人物が
ニコニコと笑顔で前の席に座っていた

「なんでって？
恋人の幸村くんが、一緒にいたいってだだ」

「俺はそんなこと言ってない。
分かったらとっとと教室に戻ってくれませんか？」

教室の外を指さすと
不満そうな顔を浮かべて、皐は頬杖をつく

「何だよ、私がずうっと仏頂面だったら
構ってくれないだの、楽しそうじゃ」

「後で話そうか、後で！」

皐の腕を引いて
教室の外まで追い出そうとするが、
柳によって止められる

「柳っ…！」

「悪いな精市、データは取らせてもらう。」

先程まで幸村が座っていた席に座り
皐の話にメモを取り始める柳

すると、
くいくいと制服の裾を引かれた

「幸村、案外お前も子供なんだ。」

げらげらと大笑いする皐に
殺意を覚えた幸村

その空気には全く気づかず
柳と話に花を咲かせる

そんな様子を見て、
クラスメイトたちは、もうやめてくれ。と
何度も心の唱えていた

「幸村！ちょっと良いか？」

教室の外から真田が幸村を呼んだ

「なんだい、真田」

怖いぐらいの笑顔で
幸村は教室を出ていった

そして誰もが皆、こう思った

“真田が殺されるっ……！”

と