番外編 Encounter ページ44
「ああ、残念。」
俺は、病室で育てていたマーガレットを
枯らしてしまった。
そんな話を葉月にすると、
マーガレットの苗を俺にくれて、
今ではまた、大事に育てている。
「あともう少しで、
花が咲くね。」
花に語りかけるとように言って、
窓の外を眺める。
今日は透き通りそうなほど、
綺麗な青空、
「少し、外に出ようかな。」
看護師さんも付き添いで、
病院の中庭へと散歩に出た。
「幸村くん、無茶はダメよ？」
「分かっていますよ。」
「そう？ならいいけ＿＿＿＿＿あ、ちょっとごめんね。」
看護師の持っている携帯から電話が掛かってきた。
幸村は、ゆっくりと歩き出す。
暫くして、大きな日陰のある気にたどり着いた。
そこにはベンチがあるから、俺はそこで一休み。
小鳥のさえずりを聞きながら、
目を伏せる。
嗚呼、やっぱりここは空気が穏やかだね、
何よりも、自然を感じられる。
「ん？」
その時、顔に葉っぱが落ちてきた。
１枚、いや、数枚
俺は目を開けて、上を見た
するとそこには、木登りをしている女の子？
「ねえ、君」
声をかけてみるが、返答がない。
聞こえていないのか、それとも聞こえないふりをしているのか
「ねえ君、聞こえてる？」
もう一度言うと、少女の手が止まり、
ガサガサッ！と大きな音を立てて、
その子は降りてきた。
「あ！幸村くん、見つけた。」
看護師さんは俺を探していたようで
少しばかり、息を切らしていた。
「勝手にどこか行かないでよ…
ごめんね、幸村くん、
もう病室に戻らないと…」
「あ、分かりました。」
「また今度。」とその子に言おうと前を向くと、
既にその女の子の姿はなかった。
「幸村くん？」
「ああすいません、今行きます。」
-
「Encounter」
出会い。
物語がようやく動き出したのは、
この時から。
一輪のマーガレット共に
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年8月28日 20時
