お世話３９日目 ページ40
「不二、どうかしたか？」
「今聞いた話で、
なんとなくわかったことがあったから
確かめてみるだけ。」
そう言うと
ワイシャツの襟を軽く引いた
不二は暫く黙った
「ん、ありがとう。」
「成程ね。」と小さく呟き
首元を指す
「ねえ、ここどうしたの？」
「ここ？」
自分からの角度では見づらいため
鏡で不二の指す場所を確認する
そこには
身に覚えのない赤い印
「…なんじゃこりゃ。
ダニに刺されたのか？」
「クスッ…
君は本当に、鈍いというかなんというか。」
くすくすと
楽しげに笑う不二
皐はムッとした表情で
笑った不二を睨んだ
「ごめん、冗談はこれぐらいにしようか。
試合前にケンカだけはゴメンだからね。」
「わかってるならケンカ売るな！
ったく、うちの部屋の男どもは…」
ドＳに腹黒に厨二！
今思えば、よく生活してたよな、私
「皐の世話をする僕らだって
すごく大変なんだったよ。
僕はどちらかというと、傍観者だったけど。」
「うんだよね。
普通に「僕も必死に世話をしてた。」
とか言われたら
私固まってたと思う。」
しれっとした顔で返せば
不二は、そうだね。と笑いながら返した
「あ、じゃあ僕はそろそろ行くからね。
皐は遅れないように。」
荷物を肩にかけると
不二は部屋を出て行った
話し相手がいなくなり、
暇人になった私はベットに乗っかった
「あ……やっちった…」
飛び乗った際に足に荷物が引っかかり、
カバンが倒れたと同時に、中身が出てしまった
ため息をついて
散らばった紙を集めている時、
紙に書かれている内容を見て
息を呑んだ
「これって………」
コンコンッ
静かに扉がノックされた
私は慌てて書類をカバンに戻し、
平然とした態度で
「どーぞ。」
相手が誰だろうと
ただ、平然を装えば良い
「ちょっと話したいことがあるんだけど、
時間がないから、直ぐに話すよ。」
「……葉月？」
例えそれが、
あの葉月だとしても
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年8月28日 20時
