お世話３８日目 ページ39
徳川は部屋を見渡し、
視線を皐に戻す
一瞬険しいような顔をしたが
すぐに元に戻り
「その」と話し始める
「や…その、だな…」
徳川は言いづらそうに
視線を逸らす
「ハッキリ言っちゃって構いませんよ？
徳川さんの言葉なら、ドーンと来いです！
「好きです。」とかだったら大歓迎です」
「俺が言いたいことはな」
「そこスルーしないでくださいよ…
私ただのイタイ人じゃないですか。」
徳川は無表情のまま
「ああ」返事をした
なんとも虚しい
「皐、幸村くんと昨日何かあったか？」
「え？」
「なんとなく思ったんだが…
違うなら別に良い。」
徳川に感づかれて
目が泳ぐ
毎度毎度、何かあるたび
絶対に誰かにばれてしまうほど
行動に出やすい皐
「……はあ。
やはり何かあったんだな。」
「別に大事じゃないですよ！
いつものような事です。」
「いつもの事」に
徳川の目が光る
「それはどういう事だ？」
「え？え、えーと……」
「俺に嘘は通用しないからな。
言えない様な事…ならいい。」
反応を見て
なんとなく言えない様な事だと
感づいてしまったため、眼を伏せた
「な、何が聞きたかったんですか？」
詳しく聞かれないとわかったため
聞いてみると
「皐、お前なんで今日は
第一ボタンまで留めていたんだ？」
「ああ、それは跡部に朝直され」
「跡部くんに直される時、
何か言われなかったか？」
今朝の跡部との会話を思い出す
エレベーターから降りる際に
「女なんだから」の様な事を言われ
ボタンを留められた
「ぐらいですかね。」
「跡部くんが気を使ってくれたんだな。」
「気を使うって……
話の筋が読めないんですけど…」
徳川は深いため息をついて
「もう良い」と部屋を出て行った
皐は跡部の行動の意味と
徳川の発言が気になって考えたが
やはり、よくわらかない
「徳川さん、
どういう意味だったんだろ……」
「あ、戻ってたんだね。」
「あ、不二が今日一番早いな。」
さっさと支度を始める不二に
皐は徳川に言われた事を話す
「なんかさー
みんなして難しい話するよね。
馬鹿にはもうちょっとわかりやすく
話してくれないと困る。」
文句を垂れていると
支度をやめて
不二が皐の横に立った
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年8月28日 20時
