お世話２日目 ページ3
ある場所に向けて
俺は車を走らせる
「おい。」
隣の皐に声をかけるが
返答がない
「おい、ブス。」
「だれがブスじゃこの野郎。」
「悪い、悪い。
余りにもブスだったから…
口が正直でごめんな〜」
颯が運転しているのにも関わらず
となりからキックやらパンチをする皐
「体にボツボツ出来てる奴に言われたくない！」
「ボツボツじゃねえし！
これ、ほくろだからな！」
自分の目元を指し、
「ほくろ！」と強調してくる颯の顔に
アイスを投げる
「お前何すんだよ！」
「だって暇なんだもん！
何か面白いことしやがれほくろマン！」
「だ〜から…あーもー！！」
アクセルを踏みスピードを上げた
「あと少しで付くから、
大人しく眠ってろ！」
「えー３０秒で付くなら良いよ。」
無茶苦茶な要求に
溜息を漏らし、皐にデコピンを食らわす
相当痛かったらしく
皐は唸り声を上げている
やれやれ…
これでやっと目的地に迎えるな。
-
その頃、
U-17コーチのホテルでは。
「え？
皐の乗っていた車が襲われて行方不明？」
「これは、かなり厄介なことになりましたね。」
「誘拐か、それとも………」
齋藤は何か思い当たるようで
顔を俯かせ考え込み始める。
「どちらにせよ、
これは警察に言うべきか？」
「いや、言わない方が良いね。
日本代表メンバーの方に
もしも情報が漏れたら色々とやばそうだし。」
苦笑いをしながら
頭を掻く。
「それに、彼女のことだ。
きっと、良い世話係でも
見つけてるんじゃないかな？」
……
「は、ハックション！」
盛大なくしゃみが出た
「俺って、海水アレルギーか？！」
雷に打たれたかのように
ショックを受ける颯
「ふああっ…んなわけ無いじゃん。
バカも程々にしたら？」
車の中で大きく欠伸をし
起き上がる皐
「お前はアレルギーの怖さを知らないから、
そんなこと言えんだよ。
ほら、着いたから降りろ。」
「えーめんどくさい。」
渋々と外に出ると
ぶわっと潮の香りがする
向こう側には砂浜と
青く広がっている海
「ぼーっとしてんなよ。
ほら、迷子になるから着いて来い！」
「いちいち命令すんな！」
先に歩き出している颯に付いて行く
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作者ホームページ：なし 作成日時：2015年8月28日 20時
