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after story ページ41

ある日、
柳生は丸井から
あるものを貰った。





「いいよ、柳生くん。」



柳生が丸井から受け取ったものは、
遊園地のチケットだった。


柳生は女子と出かけた事なんてなかったので、
かなり苦労をした。







そして遊園地当日になり、
アトラクションを順に回っていた。



「え、これ、ですか…?!」


「うん、そうだけど…」




小野寺が指さしたのは、
絶叫マシーン。


柳生は、彼女が絶叫系を好きなことを
すっかり忘れていたため、
どう答えようか迷う。



「あ、柳生くんが
乗りたいのがあったら良いよ?」


「え、いや、私は」


「私のは並ぶから。
柳生くんはどれに乗りたい?」



紳士らしく、レディーファーストで
行こうとしていた柳生だったが、



「すいません……。
では、あれを」






それから、
幾つかのアトラクションを回った。
絶叫系はすべて避けて。



「あと、どれ回ってないな?」



「そう、ですね…あれはどうですか?」



「あれは確か…最初の方に回ったかな。」




絶叫系とお化け屋敷は
思考から完全に消えていたため
普通のアトラクションは、
全て周り終わった事になっていた。




「あとは、観覧車とかかな…」



2人は頭上を見上げた。
遊園地で、シンボルとも言えるぐらいの
大きな大きな、観覧車。



「_____あ、最後にしてさ、
あれだけ、良いかな?」



「あれ?」




小野寺が指差す先には、
人が並んでいない、お化け屋敷があった。

柳生はピシリと、固る。




「あ、柳生くん…ごめん、冗談。」



小野寺は笑って「冗談だよ?」と言った。
だが柳生には、それは冗談には見えなかった。




彼女を誘ったのは私ですし、
最後くらい、彼女に楽しい思いを、
させてあげなくては。




「じゃあ、か」


「行きま、しょうか、お化け屋敷。」


「え、でも…」



柳生は小野寺の手を引いて、
お化け屋敷へと入った。






「……小野寺さん、
少しぺーす早くないですか?」


「あ、ごめんね。
早く出た方が、見なくて済むかと思って。」



腹を括って入ったものの、
なかなか進めず。



「____良いこと、思いついた。
ちょっとごめんね?」



「お、小野寺さん?!」



小野寺は柳生の右手を掴んだ。



「こうしたら、
少しはマシになるなって聞いたら。
さ、行こう?」





繋がれたその右手の温もりは、
忘れないでいて。





まずはここから、





第一歩。

*→←〜エピローグ〜



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作者ホームページ:なし  作成日時:2015年10月25日 21時

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