第7話 ペテン師の相談窓口 ページ9
「………なんですか仁王くん。」
「いや、なんでもないぜよ。」
休み時間、
柳生の教室に入ってきた仁王は
人の顔をじっと覗き込むように見てきた。
仁王の事など無視してしまおうと思ったが、
余りにも視線が痛いため、
「仁王くん、言いたいことがあるなら
言ってくれませんか?
ジロジロ見られるのは、あまり好きではありませんし…」
「ああ、すまんすまん。
昨日の練習中に、柳生がニヤついとったと、
小耳に挟んだんでな。」
「に、ニヤける?!
失礼ですが仁王くん、それは完全なんるデマですよ。」
デマ。とはっきり言うと、
仁王は口角を上げた。
「ほ〜じゃあ、なんで若干
嬉しそうな顔しとるんじゃ?」
「?!」
「お、やっぱり何か思い当たることがあるんじゃな
どれ、話してみんしゃい、聞いちょるから。」
仁王は椅子を引いて座り
柳生に問う
「ほれ、柳生。
とっととはきんしゃい。」
「ですから私は」
「言わない気か?
仕方ないのう……
また後で、吐かちょるからな。」
仁王は鼻歌を歌いながら教室を出て行った
柳生はその後ろ姿を見て、やるせない気持ちになった。
面倒仁王くんに嗅ぎつけられてしまうとは…
しかし、柳くんに見つかっていないだけ
まだ良い方なのかもしれませんね。
柳生は眼鏡をクイッと上げて
窓の外を見た。
空は相変わらず青く澄んでいて
遠くの方に鰯雲を見つけた。
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月25日 21時