第5話 悔やみます ページ7
「はあ…私としたことが…」
柳生は大きく溜息をつき
今更ながらやってしまった事を悔やんでいた。
仁王に頼まれた本を返しに行った次の日、
再び柳生は図書室へと足を運ばせた。
「今日も誰もいませんか。」
別に用事があったわけではなく、
なんとなく図書室へ来たかったのだ。
もしかしたら、誰かいるかもしれない。
などと、淡い期待を抱いて。
その時だった。
「?!」
柳生がまえを向いていた瞬間、
すごい勢いで図書室から誰かが出て行った。
「な、なんですか今のは…」
お化けではなく、完全に人だったが
油断していたため、心拍が上昇していた。
「……まさかとは思いますが、
ここになにか出る。という訳ではありませんよね?」
人とは単純な生き物だ。
一度恐怖を覚えれば、勝手に脳が想像を膨らませる。
もしも勘違いしたそれが、犬であっても猫であっても、
無意識に「怖い」と感じてしまうのだ。
今の柳生が、“それ”である
完全に人だったというのに
勝手に「霊がいる」と勘違い。
「ま、まあ…早くここから出た方がよろしいですね。」
ユータンさせようと左足を引く。
そこで、ふと、目の箸に何かがちらつく
「おや?
カーテンが開いている様ですね、
閉めておきましょう。」
柳生は、窓を閉めてカーテンを束ねた。
「あっと、いけない!
早く行かなければ、部活に遅れてしまいま_____」
振り返ったときに、
机の上にノートが開いて置かれていた。
柳生はノートを手に取り、
名前を確認したが、書いていなかった。
「どなたのノートでしょうか…。」
何処かに書いていないかとページを捲る
どうやらそれは、日記のようだ。
そこに書かれていたものは、
1日の出来事や愚痴などだった。
「…や、これは見てはいけない。」
柳生は、慌ててノートを閉じようとした。
だが、ある文字が目に入ってしまった。
それは、柳生が借りていた1冊の本の名前。
余りにもマイナーだったため、
貸出されていたことは全くなかった本
だけどこの持ち主は、その本を読んでいた。
「この方は、一体____」
この日記の持ち主に興味が湧いた。
柳生はカバンの中から付箋を取り出し、
「もしよかったら話しませんか?」と
書いた付箋を挟んだ。
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作者ホームページ:なし 作成日時:2015年10月25日 21時