チワワのちぃ(ymcn)

癒し ページ6

ryo


この前受けた映画のオーディション。


手応えあったのに…、結果は不合格。


もう、何回目？


俺の何がダメなんだろ。


気持ちを切り換えて、前へ進んでいかなきゃいけないのは分かるけど、俺は、そんなに強い人間じゃない。






沈んだ気持ちのまま帰宅した俺を迎えてくれるのは、ちぃ だった。


俺が帰ってきたのが、音で分かるのか、玄関のドアを開けると、必ずと言っていいほど、ちょこんと座って待っている。


とっても、お利口なチワワなんだ。


こいつの存在が、俺の弱った心を、何度癒したことだろう。


「ちぃ、ただいまぁ。」


今日だって。


俺の雰囲気から、弱ってることを察して、ずっと傍にいてくれるんだよ。


俺の膝の上で、俺の話を、じっと聞いてくれるし。


汚れを知らない、くりくりした瞳で見つめられたら、心が ぽわぽわって軽くなって、次もがんばろって思えるんだ。


ほんと、癒し。


いつもは、これで俺のメンタルも回復するはずなんだけど、今日の傷は予想以上の深さだったみたいで…。


寝るときになっても、一人には耐えられそうもなかった。


「ちぃ、今日は、こっちで、一緒に寝ような。」


ベッドに連れていき、一緒に寝ることに。


身体をまるくして、俺に寄り添う ちぃを、なでながら考える。


言葉は通じなくても、俺たちの心は通じあっている。


でも、もしも、ちぃが人間の言葉を話せたら…。


もっと、分かり合えるし、どんなに楽しいだろう。

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