チワワのちぃ(ymcn)

一目惚れ ページ2

ryo


彼女に振られ、仕事では失敗つづき。


癒されたくて、たまたま入ったペットショップで、俺は運命の出会いをする。


最初は、トイプードルを探していた。


かわいい子、いないかな。


ガラスゲージを探すけど、あいにくと、お目当てのトイプードルは見つからなくて。


悲しい気持ちで、一番はしっこのゲージの前にやって来た。


そこにいたのは、小さなチワワ。


ふわふわの真っ白い毛。


黒目がちのくりくりした大きな目。


潤んだ瞳で、じっと見つめられてるような気がして、目が離せなかった。


思わず手を伸ばせば、俺の手の動きに合わせて、鼻をすりすりしたり、カミカミしたり。


かわいい。


胸が、キュンと音をたて、一目惚れだった。


この子に決めた。






ふと目に入る、この子の値段。


２９万５０００円


たかっ…。


一気に、現実に引き戻される。


ムリだ。


駆け出しの俳優である俺にとって、こんな大金 出せるわけがない。






一度は、あきらめたものの、どうしてもあの子が気になって、毎日のようにペットショップへ。


小さなチワワの男の子だから、『ちぃ』って勝手に名付けて、呼ぶことにしたんだ。


惚れた欲目かもしれないけど、ちぃ も、俺を見つけると、必ず寄ってきて、しっぽをふって、かわいくアピールしてくるんだ。

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