47 ページ47
【リリーside】
ll「……誰かに、何か言われたことあるの？」
それまで、うつむいたり、不安そうに視線を泳がせていたAちゃんの動きが、ピタリと止まった。
『ちょっとだけ、中学の合唱のときに…』
Aちゃんは、慌てて本当にちょっとだけですけど、と付け加える。
『発音が今よりもっとひどくて、だからうまく歌えなくて…それが面白かったみたいでᄒ』
ll「どうしてそんな…」
どうしてそんなひどいこと。
昨日喋ったとき、Aちゃんは明るく素直な人っていう印象だった。
それがどうして、この話題ではこんなに自信がないのか不思議だった。
自分の弱い部分を一度でも否定されると、自信というものはあっという間に崩れ落ちる。
歌が好きな子なのに。
こんなに真剣に、物事に向き合える子なのに。
ll「ごめんね、オンニがその場にいたら、そいつのことぶん殴ってやりたかった！！」
『大げさですよ』
大げさじゃない。
現に、その無責任な言葉のせいで、一歩踏み出せずにいるじゃない。
ll「気にすることないよ。私も発音変だし、分かんない単語いっぱいあるもん！あ、私実はオーストラリアから来たの」
『お、オーストラリア！？』
ll「でもその度ヘウォンとかが教えてくれるんだ。だからAちゃんも大丈夫」
ヘウォンは変だって笑うけど、馬鹿にはしない。
いつもいろんなことを教えてくれる。
ll「……やっぱり出よう！私が精一杯協力する！」
その方が絶対後悔が残らないし、何より、
ll「仲良しな人と出たら、楽しいよ。思い出になる」
私達３年は、最後の文化祭。
高校生活最後の行事なんだ。
ジョンハン君にも後悔してほしくない。
……ほとんど喋ったことないけど！
『ありがとうございます、私出てみようと思います』
ll「本当！？全力でサポートする！！」
『あはは、よろしくお願いします』
飛び跳ねて喜ぶと、やっと笑顔になってくれた。
この子の心のトゲを抜く手伝いができたらいいな、なんて。
ll「まず、歌詞見てみる？すごい良いんだよ」
『知ってる歌ですか？』
ll「うん。有名な曲」
洋楽はよく聴くけど、その中でもEverything Has Changedは好きな曲だ。
ジョンハン君、センスいいなって思う。
ll「あった、流すね」
優しいメロディが、２人しかいない部室を包みこんだ。
英語の下に、韓国語で字幕が書いてある。
私は、英語の方を追う。
Aちゃんは、どっちを見て歌詞を理解するんだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 358人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
よしよしちゃん(プロフ) - なさん» こんばんは。ありがたいお言葉、本当に励みになります😭❕こちらこそ、そのような解釈をしてくださって、本当に嬉しいです。こんな作品ですが、これからもよろしくお願いします🙇♀ (3月29日 1時) (
レス) id: 51e421583f (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - ジョシュアペンなのですがジョシュアの解釈もとても素敵で、学生生活の儚さを表現してくださっていて大好きな作品です！お体に気をつけてお過ごしください！いつも更新ありがとうございます！ (3月28日 0時) (レス) id: b8691a6518 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yo | 作成日時：2024年1月30日 17時
