青い恋 (ページ45)

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夜、私は自分の部屋のベッドに寝転び、枕に顔を押し付ける。

『あーあやってしまった…』

昼間、ジフン先輩に言われた一言を思い出す。

『あからさますぎたよね…あー申し訳ない…！』

いくら傷ついたとはいえ、あんな帰り方をしては気を使わせただろう。
そもそも大したことは言われてないんだから、傷つくのもお角違いだ。先輩だって悪気なく言ったんだろう。

もっと酷いことはたくさん言われてきたはずだ。

きっと、最近普通に過ごしすぎて忘れてしまっていたのだろう。

『いけないいけない、平和ボケなんて…』

忘れちゃいけない。ここは韓国で、私は日本人なんだから。自分の身は自分で守らないと。

次ジフン先輩に会ったら軽く謝ろう。それでこのことは忘れる。それでいいじゃないか。
今日の一言がきっかけで思い出してしまった悪い思い出にはもう一度蓋をしよう。

今日はもう寝ようと思って電気を消すと、スマホが鳴った。

『電話…？ってミンギュじゃん』

何だろう。電話なんて珍しい。

『もしもし？』
mg「あ！A！」

電話の向こうからは元気な声。夜なのに何でそんなに元気なんだろう。

『どうしたの？なんかあった？』
mg「なんかあったって…A今日勝手に帰ったじゃん！」
『あー…』

そうだった。ミンギュには何も言わずに帰ってしまったんだった。

『ごめん…！』
mg「え？いやいいんだけどさ、どうかしたの？」
『う…ん、そう、ちょっと頭痛くて』

本当のことを言うわけにもいかず、嘘をついてしまった。
ごめんね…

mg「え！？大丈夫なの？」
『大丈夫大丈夫！もう治ったし平気！』
mg「そう？無理しないでね？」
『うん、ごめんね』

心配してくれるミンギュにますます申し訳なくなってくる。

mg「謝んないでよ…なんか、元気ない？」
『え？…あーうんまあちょっと』

ミンギュ、鋭いね。

mg「誰かになんかされた？しんどいことあった？」
『ううん、全然大したことないんだけどね』
mg「大したことだよ！Aが元気ないのは、超大したこと！」
『あはは何それㅋ』

必死なミンギュがちょっと面白くて笑ってしまった。

『ありがとう……ちょっと嫌な気分だったんだけどね、ミンギュと喋ったらなくなった』

これは嘘じゃないよ。

mg「ほんと？！なら良かった！」
『うん、ありがとう』

体調悪いなら早く寝るんだよ、と言って電話を切るミンギュ。

ありがとうミンギュ。この電話がなかったら、私きっと今日眠れなかった。