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深夜、日中の賑やかさが幻のように消え去ったMANKAI寮に帰ってくる。
今日は仕事が全て終わった後のレッスンが長引いてしまい、こんな時間になってしまった。
前まで深夜に帰ってきてもなにも思わなかったのに、今では少し寂しいと感じてしまう。
…なんでだかは、いまいちわからないけど。
『かえりましたー…』
小声で挨拶をして寮内に入る。
取り敢えず水でも飲もうかな、なんて思い談話室に行くと少しだけ明かりが漏れていた。
…だれか起きている?
私は、そっと扉を開けた。
「あれ!由井さん!おかえり!」
『皆木さん!?』
そこにいたのは、まさかの皆木さん。
皆木さんは、部屋着でソファに座りノートパソコンをいじっていた。
たぶん、次の公演の台本を書いてくれているんだと思う。
春組はもうできて練習中だから…夏組かな?
『こんな遅くまで…もう1時ですよ?明日も学校…』
「それ言うなら、由井さんもだろ?俺よりずっと由井さんの方が疲れてるし。
それに、女の子がこんな時間にひとりで帰ってくるなんて…呼んでくれれば迎えにいったよ?」
『いや、流石にそれは申し訳ないというか…!』
カバンを下ろして、皆木さんのとなりに座る。
そして、ノートパソコンの中身を見てみた。
…やっぱり、脚本。
『夏組のですか?』
「うん。いちお大体は物語考えたんだけど、細かいところがまだなぁ…。
今回のはまだ猶予が長いからゆっくり書いてて。
あ、今回の主演は幸で、準主演が三好さんで行きたいんだけど…どう?」
『瑠璃川くんと三好さん、かぁ…。いいと思いますよ。』
「そっか、よかった。」
私がそう言うと、皆木さんはにっこりしてノートパソコンを閉じた。
閉じちゃうの…?と思い皆木さんを見ると、皆木さんはぐん、と伸びをした。
「…なんか不思議だなぁ。由井さんと話したら、なんかすっきりするんだよ。
なんでだろうな?」
『すっきりします…?それはよかったですけど、初めて言われました…、』
「ほんとか?なんか嬉しい。」
『わっ、』
おもむろに、皆木さんは私の頭に手を乗せた。
そして、ゆっくり優しく私の頭を撫でてくれる。
それがすごく安心できて、自分でもびっくりしてひまった。
あったかくて、優しくて…。
無償の愛を与えてもらってる感覚になる。
「由井さんはいっつも頑張ってて…ほんと、すごいよ。」
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夢花(仮垢) - 夢主ちゃん頑張れ…。あ、どこかは忘れましたが(すみません)、この続編のどこかに「してしまった」の所が「してひまった」になってました。今自分が覚えてるってことは割と最後の方です()中途半端 (2018年11月16日 9時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 悠斗さん» コメント、並びにご指摘ありがとうございます。早急に訂正させていただきます。大変失礼いたしました。 (2018年4月7日 14時) (レス) id: 92b7e8a327 (このIDを非表示/違反報告)
悠斗(プロフ) - いつも楽しく読んでいます。文字ミスなのですが120ページの「仕事が立て込んでて、MANKAI両へ帰る余裕がなかったのだ。」 のところで『両』ではなく『寮』ですよね。 (2018年4月7日 11時) (レス) id: c0cfb0f959 (このIDを非表示/違反報告)
ますみすみ(プロフ) - いやぁぁぁッ///みすみーッ///本当この作品大好きです!!! (2018年4月3日 0時) (レス) id: 43e6e1321d (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - ひぃゃゃゃゃああ!!!三角〜!!!かわいいよ〜〜〜!!! (2018年4月2日 21時) (レス) id: 700d4b33cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2017年11月6日 22時