熱。 ページ13
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「名前。」
『若利さん…どうかされました?』
練習が終わった後、みんながばらばらに散っていっている時に若利さんに声をかけられる。
記録ボードに走らせていたペンを止め、私はそちらを向いた。
若利さんは、少し湿った首元をタオルで拭き。
呼吸を整えるようにゆっくりと呼吸をしていた。
最近、若利さんは練習にいつも以上にのめり込んでいる。
いいことだけど…少し心配。
「この後は、何か用事はあるか?」
いつものように、淡々と。若利さんが私に尋ねる。
『え…特にないですけど…。誰かの自主練でも付き合おうかなって思っているくらいで。』
「そうか。」
すると、若利さんは私の腕を掴んで立たせた。
突然の行動に、咄嗟にきょとんとしてしまう。
いや、まぁ…若利さんの突拍子も無い行動はよくあることではあるんだけど…!
「俺と走ってくれ。」
『…え、』
:::
あれよあれよと準備をさせられ、何故かランニング。
昼間と比べると、比較的冷たい風が頰を撫でる。
少し前には、練習後だというのにスムーズにランニングをこなす若利さん。
…ほんと、この人のスタミナは底なしだなぁ…。
『…わ、若利さん…!』
「? どうした?」
声をかけると、前にいた若利さんは隣に来てくれた。
そして、走りながら私の目を見つめる。
『…何で私を誘ったんですか?何か仕事したほうがいいですか…?』
私は、若利さんにランニングに誘われた理由がわからなかった。
ランニングの際にマネージャーがする仕事は、大体がペース配分の指導や水分補給。それから、タイムを測ったり走る姿勢や筋肉の使い方を見たり…様々だ。
要は、一つではなく色んなことをする。そのため、プレイヤーはしてほしいことを事前に伝えておかないと対応できないこともあるのだ。
水分補給とかだったら、自転車とかでついて行かなきゃだし。
若利さんは、きょとんとした顔で言った。
「最近、お前と走れてなかったからな。
合宿で、マネージャーはプレイヤーの為に他の仕事をしてくれているから仕方ないが…。
やはり寂しいだろう。合宿前は毎日一緒に走っていたからな。」
それだけ言うと、若利さんはまた前に行ってしまった。
…やっぱり、一番ずるいのはこの人だ。
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りり - 1000! (2023年1月20日 23時) (レス) @page30 id: feaf084e84 (このIDを非表示/違反報告)
あきゃ - お話し読ませていただきました! お話しもリアルで読んでいてとても楽しかったです。 お話しの続きがあると嬉しいです。お体に気をつけて頑張ってください…応援しています! (2022年9月10日 10時) (レス) @page30 id: a21b7320f4 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 話の展開にハラハラドキドキして、、読んでいてとても楽しかったです!!!とってもキュンキュンしました!!更新大変だと思いますが……作品の続きを読める日をずっっと楽しみに待ってます!!!影ながら応援してますっ!! (2022年8月17日 18時) (レス) @page30 id: 5b22c7453f (このIDを非表示/違反報告)
脇腹 - コメント失礼します…!今まで色んな夢小説見てきたんですけれど顔文字とか入ってなくて表現の仕方も分かりやすく凄く読みやすくて良かったです!! (2022年6月29日 13時) (レス) id: 56704687d6 (このIDを非表示/違反報告)
紅月。 - 初コメ失礼します!この作品を読んだ時、衝撃を受けました!もう読みながら悶えてました!この作品で糖分を補給してるのでこれからも主様のペースで更新お願いします! (2021年8月18日 17時) (レス) id: 9bccb615c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2017年8月8日 20時