003. ページ5
.
→
「なぁ、名前…?」
『なんですか?菅原先輩』
名前が、ふわっとした笑顔で俺の顔を覗き込んでくれる。
肩にかかっていたさらさらの髪の毛はするりと落ちて、大きな瞳は俺を捉えた。
「キス、したい。」
…
……
『えっ』
「あっ、」
無意識だった。
「ごっ、ごごごごごめん!!!!
俺何言ってんだろ〜〜〜!変なこと言ってごめんな…?」
無意識にぽろっと出た、名前へのキスのリクエスト。
信じられないくらい顔が熱くて、ばかみたいに恥ずかしかったのを覚えている。
なんてったって、俺はそれまでキスなんてしたことなかったし…それに、名前とは付き合ってるとかじゃぜんぜんなくてただの後輩と先輩だったから。
当たり前だけど、ひとにキス求めたことなんてなかったし、彼女もいないんだからそりゃあたりまえだけど。
…名前の顔を見ることができなかった。
どんな顔してるのかな…気にならないといったら嘘になるけど、それでも自分がとんでも発言をした直後にその当人を見る勇気は俺にはなかった。
「あ〜〜、ごめん、俺の顔みっともないから見ないでいてくれたら助かる…。
そんで、今日俺鍵閉めるから名前帰っていいべ…?」
俺は、顔を掌で軽く覆って隠した。
そして、名前に帰って欲しいと告げる。
「えっ…」
次の瞬間、細くて白い指が俺の手首を握った。
びっくりして、咄嗟に顔をあげる。
顔をあげると、困ったように笑う名前の姿が。
…うわぁ、その笑顔かわいすぎ。
すると名前は、ゆっくりと俺の頰に自分の頰をすり寄せた。
ふにゅふにゅした名前のほっぺたがダイレクトに当たって、俺はもうショート寸前。
『…菅原先輩が、それで心を癒せるんだったら…私はなんでもしますよ。』
名前は耳元でそう囁いて、俺の耳朶にそっと口づけた。
ちゅっと、可愛らしいリップ音を残して。
「…ッ」
『えっ…、んぅっ、』
俺は理性がぶっ飛んだように、名前の唇を貪った。
甘ったるいこの感じが、俺の頭の中を負の感情ごと、どろっどろに溶かしてくれる。
その快楽に溺れた、欲望に忠実に、ばかみたいに。
…その日から、凹んだら名前に癒してもらう。そんな奇妙な関係がはじまった。
それをしているのが、俺だけではないことを知らないまま。
.
861人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こめ(プロフ) - わああああああ! 通知見て飛んできました笑 ありがとうございます!! (2020年8月16日 8時) (レス) id: d80500603f (このIDを非表示/違反報告)
こめ(プロフ) - 他の小説では活動していらっしゃるようなので… 更新待っています(. .`) (2020年8月13日 8時) (レス) id: d80500603f (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 追加…!黒尾さん、国見ん、赤葦さん、研磨、二口さん、岩泉さん、影山、ツッキー、白布ん、瀬見さん、川西でオチ。お願いします!推しキャラ多いんですよね…私(´・ω・`) (2017年10月2日 23時) (レス) id: 76b8560369 (このIDを非表示/違反報告)
影黒 赤美(プロフ) - オチは、影山、黒尾、赤葦(通称黒神組)でお願いします!!黒神組推しなんで!!w (2017年9月6日 18時) (レス) id: 3ce43cb10f (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 国見くん、赤葦さん、研磨くんキタコレ!ってくらい大好きすぎて辛い…そういう3人も見てみたい今日この頃…お願いします! (2017年8月23日 1時) (レス) id: 63846ff92f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青 | 作成日時:2017年7月3日 16時