31 ページ31
これは2人作戦は無理やな、別日にしよう。皆で賑やかに遊ぶのも楽しいし、大事な思い出や。昔よりも人数も増えるし、毎年違う色の思い出が増えていく。
同じ夏は来ない。人生において夏は100回も来ないし、その中でも一生覚えている夏なんてきっとそう多くはないのだろう。それでも今年の夏は、忘れられない夏にしたい。
前の席の彼女は楽しそうに笑顔を3人に向けている。椅子に座る大先生と、行儀悪く大先生の机に腰掛けるコネシマと俺の前に立っているトントン。誰かが話す度に律儀にそちらに顔を向けて聞くのを見つめる。
…横顔ばかり見ている気がする。
放課後、いつものように生徒会室に集まる。今日は部活勢が遅れてくるので人が疎らであり、それに伴い雰囲気もいつもより緩やかである。雑談混じりに資料を纏め、必要事項を書き込んでいく。
早々に飽きた俺と大先生は飲み物を買いに行くと言い訳をして購買に抜け出す。トントンも今日は許してくれるのか、ため息を着いて俺たちを手で追い払った。
「あ、そういえば俺教室に忘れ物したんやったわ。ついでに取りに行こうかな」
「暇やし俺も着いてくわ」
がさがさと購買で買ったお菓子やらパンやら飲み物やらを揺らしながら教室へと歩を進める。放課後の廊下は冷房が着いていないため熱気が篭っており、生徒会室の涼しい室温と違って歩いているだけで汗をかいてくる。
今日は絵に書いたような夏日であり、直射日光も強ければ、それが反射したコンクリートもゆらゆらと陽炎を揺らしていた。夕方になるにつれて涼しくなってきてはいるものの、まだ太陽の残余を色濃く残していた。
大先生と2人暑い暑いと愚痴りながら教室に向かい、後ろのドアをがらりと音を立てて開くと、2人の人影を見つけた。窓の外から降り注ぐ夕焼けの逆光のせいで見えにくかったが、どうやら席の場所をみるにAとヨシナリのようだ。
Aは扉の開いた音に驚いて肩をビクつかせ、こちらを見た後気まずそうに俯いた。ヨシナリはゆっくりこちらを振り向いたあと、「よう」と短く手を挙げた。大先生は気まずそうに声をかけたが、俺は目を見開いたまま、その場に立ち尽くしていた。
だって、いま、お前らキスしてなかった？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 862人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
悠亜(プロフ) - guririさん» コメントありがとうございます！きゅんきゅんして頂き幸いです…続編もよろしければお楽しみください！読了ありがとうございます！ (2019年11月20日 23時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
guriri - ヤバいめっちゃキュンキュンする．．．！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - 友希那さん» 友希那さんコメントありがとうございます！毎日更新出来なくて申し訳ありません…。楽しみにして頂けてとても嬉しいです。今後もキュンキュン出来るような展開に持っていきたいのでぜひよろしくお願いします！ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさんコメントありがとうございます！狂犬組良いですよね、とても夏が似合う…。そろそろその2人も出そうと思ってたのでリクエスト嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
友希那 - ｷｬｰｰｰｰ!!毎日コツコツ更新チェックしながら見てるものです。いつもキュンキュンさせてもらってますよぉ！これからも応援してます! (2019年8月4日 18時) (レス) id: 43ce5d2e93 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：悠亜 | 作成日時：2019年5月8日 21時
