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-ゾムside-
2人で夜風に当たりながら歩いている途中、持ち出された夏の会話。あぁそうか、俺達はこれから夏が来るのか。
去年は近所の小さい祭りにしか行っとらんし、Aは地元やから、とラフな格好で着ていたのを覚えている。今年こそは、浴衣姿のAが見たい。意外と落ち着いた色とか似合うんやろうなぁ。緑着てくれへんかな、俺好きやし。
からかい混じりに正直に口に出すと、想像通り眉を顰めてそっぽを向くAが面白くてついからかってしまう。期待しすぎるのは怖いけれど、ほんの少しは許されると思うねん。
駅まで送り届け、去り行く後ろ姿を見つめていると、心の奥底からふつふつと「まだ足りひん」という気持ちが湧き出してしまい、思わず呼び止めてしまった。
頭で考えるより先に口が動いてしまったため必死に言い訳を考えるも、少し先にいるAは怪訝な目を俺に向けるだけでこちらに向かってきてはくれない。タイミング悪くAが乗る電車が到着する。駄目や、行くな。
『だからなんでやねんって！』
「このまま帰したくないねん！」
…あ、やべ、言ってもうた。どうやらその言葉は届いてしまったらしく、口を開けてぽかんとしている。Aの背後で電車が発車する放送が流れ、Aは手に持ったICカードを握りしめたように見えた。
このまま帰ってしまうんかな、あーあ、俺何で言うてもうたんやろ。
改札口から出てくる人に呑まれてAが見えなくなる。俺はじっとそちらを見据えて待つと、電車が発車する音がする。俺は目を伏せて立てかけていた自転車のストッパーを蹴りあげた瞬間、
『…で、コンビニやっけ？』
前を横切ったサラリーマンの後ろからため息をつきながらAが歩いてくる。帰っ、てない。Aは俺の自転車の荷台に乱雑に鞄を投げ入れて横に並ぶと、なに見てんねんと俺を一瞥した。
「…帰ったと思った」
『別に終電ちゃうし、疲れとるから走りたくなかってん。それにあんな必死に止められたら帰られへんし、ほんま感謝せえよ…』
「え、あ、おう」
『はよ行こ』
あかん、めっちゃ嬉しい。ガバった自分を人生で初めて褒め讃えとる気ぃする。また自転車を引いてコンビニに向かって並んで歩き出す。
Aは美容院でセットしてきた盛り髪の毛先をいじりながら、また俺の雑談に気だるそうに相槌を打つ。前俺の事が好きやったとかは関係なく、昔から変に媚びてこうへんから気楽に話せるのがこいつの良いところやった。あー、好きや。
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悠亜(プロフ) - guririさん» コメントありがとうございます！きゅんきゅんして頂き幸いです…続編もよろしければお楽しみください！読了ありがとうございます！ (2019年11月20日 23時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
guriri - ヤバいめっちゃキュンキュンする．．．！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - 友希那さん» 友希那さんコメントありがとうございます！毎日更新出来なくて申し訳ありません…。楽しみにして頂けてとても嬉しいです。今後もキュンキュン出来るような展開に持っていきたいのでぜひよろしくお願いします！ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさんコメントありがとうございます！狂犬組良いですよね、とても夏が似合う…。そろそろその2人も出そうと思ってたのでリクエスト嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
友希那 - ｷｬｰｰｰｰ!!毎日コツコツ更新チェックしながら見てるものです。いつもキュンキュンさせてもらってますよぉ！これからも応援してます! (2019年8月4日 18時) (レス) id: 43ce5d2e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠亜 | 作成日時：2019年5月8日 21時
