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ゾムにバトンを手渡す直前に目が合い、その刹那スローモーションになったかのように時が流れた気がした。合ったまま逸らされない目。
きっと私はゾム、と声を出したと思う。バトンがゾムの手に乗った瞬間、ゾムの口角が上がって微笑まれる。まるで任せろ、と言っているかのように楽しく笑うその笑顔を見た瞬間、時の流れが元に戻り周りの歓声が聞こえ出す。どっと息を吐き出して走り出したゾムを見据える。
現段階で3位。2位との差はほとんど無い。1位になったら、諦めない。2位以下は、諦める。今度こそ完全に諦めた方が、嫉妬も後悔も何もなくて済む？友達でいた方がいい？諦めた方がいい？
黄団のアンカーであるシャオちゃんがゾムの隣で並行して走る。赤団のアンカーが、ゾムの先を駆けている。選手を応援する声が響く中、ゾムを応援する声が出せない。1位じゃなかったら、諦める。諦める。諦める。視界が滲んできた。ゴールに、近付いてきている。あぁ、このまま、終わるんかな。
だめ、や。
(「…ごめん。Aとは、友達で居たい」)
嫌や。
(「Aにとって、後悔しない選択だといいね」)
(「…諦め方なんて、わかんないよ」)
だめや。
(「俺はお前の方が可愛いと思うけどな」)
嫌や。
(「絶対俺が1位になったるから」)
『負けんな、ゾム！！！』
諦めたくなんか、ない。
喉が痛む程叫んだ瞬間、ゾムはスピードを上げてシャオちゃんと距離を開けていく。応援席から一層歓声が響く。2位も抜き去り赤団のアンカーとほぼ同率で走り込んで、そのままゴールテープを切った。ざわざわと会場が騒ぎ出す。1位は赤団か、青団か。
《…えー。赤団と青団が同時にゴールしましたが、判定の結果をお知らせします》
お願い、お願い、お願い。かみさま。
もう一度だけ、私にチャンスを。
もうわかった。自分がどうしたいのか、わかってしまった。だって"見返したい"だなんて、振り向いて欲しいってことじゃないか。好きになって欲しいし、好きでいたいんじゃないか。
お願い、もう一度だけ、これで終わりにするから、どうか好きでいることを許して。
《ただいまの結果、1位は、
………青団！！》
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悠亜(プロフ) - guririさん» コメントありがとうございます！きゅんきゅんして頂き幸いです…続編もよろしければお楽しみください！読了ありがとうございます！ (2019年11月20日 23時) (
レス) id: eb2dbc11ad (このIDを非表示/違反報告)
guriri - ヤバいめっちゃキュンキュンする．．．！ (2019年11月19日 20時) (レス) id: 5d86136675 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - 友希那さん» 友希那さんコメントありがとうございます！毎日更新出来なくて申し訳ありません…。楽しみにして頂けてとても嬉しいです。今後もキュンキュン出来るような展開に持っていきたいのでぜひよろしくお願いします！ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
悠亜(プロフ) - ひーちゃんさん» ひーちゃんさんコメントありがとうございます！狂犬組良いですよね、とても夏が似合う…。そろそろその2人も出そうと思ってたのでリクエスト嬉しいです。ありがとうございます！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: 66cdfbcc74 (このIDを非表示/違反報告)
友希那 - ｷｬｰｰｰｰ!!毎日コツコツ更新チェックしながら見てるものです。いつもキュンキュンさせてもらってますよぉ！これからも応援してます! (2019年8月4日 18時) (レス) id: 43ce5d2e93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：悠亜 | 作成日時：2019年5月8日 21時
