195【黄が瞬いた鳴き声】 ページ29
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「(ちょっ……何よコレ…っ)」
火神くんがダンクを決めて、勢いがついてきた…と思っていた矢先、海常もフルスピードで誠凛に追いついてきた。
試合が始まってまだ3分。
それなのに…それなのに…っ！！
「なんッ……ですか、このハイペース…」
隣にいるAくんが、そう口を零した。
…そう言ってしまうのも仕方がないでしょうね。現に私も、この異常なまでのハイペースに驚かされているんだから。
目を一瞬横に流し、点数を盗み見た。
「16対17…」
…先程も言ったが、まだ試合が始まって3分足らず。
それなのにこの点数…
こんなの、ノーガードで殴り合っているようなもんよ…！
DFは当然全力でやっている。
ただ、それよりもお互いの矛が強すぎて守りきれていない。
お互いの矛にそれぞれの盾が壊される。
驚くまでに、物凄い威力で。
___これが、”キセキの世代”同士の衝突…！！
「ぅおっ……！？」
コート上でいま現在ボールを持っている日向くんが、そう声を漏らす。
海常のスタメンの圧力に押され、今にも取られてしまいそうだ。
「(しっかりしてよね、
そう心の中で願うものの、日向くんだって実際辛いはず。
黄瀬くん以外の4人もこの圧力……いっぱいいっぱいもいいとこだわ。
情けない話だけど、黒子くんと火神くんがいなかったら確実に持っていかれる……
いつまでこの均衡が保つのか、心臓がいくつあっても足りないわよ。
火神くんにボールが渡った。
と同時に黄瀬くんがマークにつく。
「黄瀬、早いですね」
「えぇ…。実際目にしてみると凄いわね」
隣にいるAくんと言葉を交わしながら、手に汗を握る。
それはきっとAくんも同じだろう。
真剣な目付きで、試合を追っていた。
「……」
そんなAくんを見て、思わず下に目線を落とした。
____今回の試合、Aくんを出すべきか否か、私は未だ心の中で迷っていた。
今までAくんを試合に出してこなかったのも、心の中に多少の迷いがあったから。
……この迷いの正体を、私はまだ分からなかった。
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
