191【黄が瞬いた鳴き声】 ページ25
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「…ん？カントク？…どうしました？」
隣を見ると、目を見開いて汗を滲ませたカントクがいた。
視線の先には、海常のスタメン達。
「ちょっと……ヤバいかもしれないわね」
「…え、っ」
その言葉に、少し心臓が跳ねた。
…父親はスポーツトレーナーで、毎日その仕事場で肉体とデータを見続けたカントク。
その内に身についた特技が、「身体能力の数値化」
カントクの目に映った肉体は、身体能力が全て数値で見える。
それだけでも本当に凄い能力なのだが、そのカントクがここまで言うなんて……
確かに、全国クラスの強豪校なら全員の身体能力は高いであろうし、俺だって身に纏ってる空気くらいは感じられる。
だけどカントクほどではないし、正直プレイを見ないと予測できない……
「ヤバい、って……マジすか」
「うん、マジ。
服の上からじゃ全部は見えないけど……
てか軒並み数値高っかい……フィジカルは完全負けてるかも」
「え”、ヤバいっすね」
どうしよう。心臓がバクバクしてきた。
今回マジでピンチなんじゃ…！？
「(頼むから頑張ってくれよ、みんな…！)」
心の中で祈りながら、コートを見回した。
…海常の主将は
確か笠松さん…だっけ。
全国でも有数のPGとして有名だと聞いたことがある。
このコートの中では、今一番注意すべき人。
バスケは好きだけど、知識とかんなねーからな…
全国クラスの強豪校の名前だって知らねぇし、知っていたとしてもほぼ部員から聞いた話だ。
これからは事前に研究するべきだよな……
……月バス、帰りに買お。
「あ、始まりますね」
審判が真ん中でボールを放とうとする。
ジャンプボールだ。
「ええ。
…コッチも黒子くんと火神くんがいるとは言え、あの2人の力がどこまで通用するか…」
ボールが、宙に放たれる。
「……きっと、2人ならやってくれますよ」
試合が始まった。
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
