189【黄が瞬いた鳴き声】 ページ23
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足を動かそうとした時、海常監督が黄瀬を見て指をさした。
「…ん？何ユニフォーム着とるんだ？」
「え？」
「黄瀬、お前は出さんぞ」
「え！？」
そんな会話が体育館中に響いた。
ユニフォームを着ていた黄瀬に対し、海常監督はナメた顔で注意する。
「各中学のエース級がごろごろいるウチの中でも、お前は格が違うんだ」
「ちょ、監督やめてっそう言う言い方マジやめて！！」
黄瀬は必死に止めるが、その想いは届かず。
「黄瀬抜きのレギュラーの相手も務まらんかもしれんのに…出したら試合にもならなくなってしまうよ」
「な…っ」
その言葉に、俺たちは声をあげる。
……ほぉ。言ってくれんじゃん。
「あぁあ…すいませんっ、マジすいません！大丈夫、ベンチには俺入ってるから！
あの人ギャフンと言わせてくれれば、多分オレ出してもらえるし…！」
慌てて黄瀬が謝りに来たが、時すでに遅し。
俺たちの怒りはピークに達している。
「まぁ、俺がワガママ言ってもいいんスけど….」
黄瀬は先程と表情を変え、俺達を見据えた。
「俺を引きずり出すこともできないようじゃ…”
その言葉に、俺や黒子、火神がピクッと反応した。
「オイ、誠凛の皆さんを更衣室へご案内しろ！」
海常の監督がそう声をあげ、俺たちは更衣室へと案内される。
通りぎわ、黒子が黄瀬に忠告した。
「アップはしておいて下さい。…出番
そしてカントクも、海常監督に向かってこう言う。
「あの…すいません、調整とかそういうのはちょっと無理かと…」
2人は、声を合わせて言った。
「「そんな余裕はすぐ無くなると思いますよ」」
その言葉に、俺はフッと笑った。
「……なんだと？」
海常の監督は反応し、振り返る。
その後ろで黄瀬が好戦的な瞳を見せ笑っていたのを、俺たちは知っていた。
「それではこれから、誠凛高校対海常高校の練習試合を始めます」
体育館に、開始の声が響いた。
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
