186【黄が瞬いた鳴き声】 ページ20
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「そんな風に言ってもらえるのは光栄です。
_____丁重にお断りさせて頂きます」
「文脈おかしくねっスか！？」
ペコリと律儀に頭を下げた黒子に、黄瀬はわざとらしく悲しんで見せた。
黒子の返答に俺はほっと胸を撫で下ろし、息を吐いた。
ここで「はい」なんて答えが来ようものなら、俺はどうなっていたのか。
恐らく黄瀬をぶん殴っていただろう。
え？理不尽？知らね←
だが安心したのもつかの間、すぐに表情を変えた黄瀬は黒子に反論する。
「っ…そもそも、らしくねっスよ！
勝つことが全てだったじゃんっ…、なんでもっと強いトコ行かないの？」
”勝つことが全て”
それはいつか聞いた黒子の中学時代の理念。
勝つことだけが全てで、それ以外に道は残されていなくて____。
征十郎と会った時にも感じた、何かに囚われているような感覚。
「勝利」に取り憑かれた、天才達____
黒子は、真っ直ぐと黄瀬の瞳を見据えていた。
その迷いのない瞳に、何故か背筋がゾクッとする。
「……
何より、僕は火神君と約束しました。
君達___”キセキの世代”を、倒すと」
その言葉を聞いた黄瀬は、静かに表情を変えた。
「……やっぱらしくねーっスよ。そんな冗談言うなんて」
少し怒りを含んだように言い放つと、突然座り込んだままの火神が笑い出した。
「これがキセキの世代…っは、スゲーわマジ。しかももっと強えーのがまだ4人もいんのかよ…」
立ち上がった火神の瞳は輝いていて、尚且つ好戦的で。
黒子の隣で黄瀬に睨みを効かせた。
「ったく…俺のセリフ取んな黒子」
そして黒子もまた、若干鋭い目付きで黄瀬を見据えた。
「冗談苦手なのは変わっていません。
本気です」
___勝利に取り憑かれた天才達より、いつだって純粋に頂点を目指すこのチームの方が、よっぽど良い。
2人を見て、そう思えた。
……さて、この宣言は果たされるのか。
いや、果たして見せるさ。
例え相手がどんなに強くとも、仲間でも、征十郎でも。
このチームなら。
「……あぁ、そうだな」
俺らしくもない、確証のない宣言を、胸を張って言ってみた。
ただ、それだけだ。
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
