182【黄が瞬いた鳴き声】 ページ16
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「っ……！！」
思わず息を呑むほど、綺麗に輝いた黄色。
征十郎を初めて見たときと、何となく同じような感覚がした。
ドクンと胸騒ぎがし、やけに興奮が収まらない。
思えば、黒子と会った時もそうだったのかもしれない。
どこか他の人とは違う、異様な雰囲気が漂っていた。
”キセキの世代”は、皆それぞれ人を惹きつけるオーラを持っているのかもしれない。
そう直感した瞬間、俺の瞳は瞬く間に赤色に変化した。
「(あ、やばい)」
目が焼けるように熱くなり、視界が霞んだ。
”目が霞む”_____
もう何度も味わってきた、この感覚。
咄嗟に目を隠し、呼吸を落ち着かせた。
バスケ部のみんなや他のギャラリーは金髪の人に注目していて、俺に気付いてはいないようだ。
とりあえず一安心。
深呼吸をし、目の中で氷が溶けてじわじわと熱が消えていく感覚を思い浮かべた。
こうすると能力の発動が抑えられるのだ。
「(まぁ止まらないときもあるけど…これくらいなら大丈夫だろう)」
目を抑えた指と指の間から、ちらりと金髪を盗み見た。
そいつは大行列を並べた女の子にサインらしきものを渡し、若干苦笑いで対応する。
あれは____
「黄瀬……涼太…！」
眩しい黄色の正体は、キセキの世代の一人…黄瀬涼太だった。
灰色のブレザーを身にまとい、片耳にピアスを開けた、見た目はいかにもチャラそうな男だ。
だがしかし、彼の人々を惹きつける美貌と独特なオーラを放ったその姿を見ると、「チャラい」なんて言葉は言えなくなった。
彼に笑顔が浮かぶたび、周りに花が咲いたように空気が明るくなる。
とても輝いた、綺麗な人だ。
そう思った。
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
