177【親友、そしてライバルに】 ページ11
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「おっ…と」
「…征十郎。2日間だけだけどすっげー楽しかった。
ありがとな！」
俺から離れて、Aが精一杯の笑みを見せた。
「……あぁ。俺も、とても楽しかった」
2人で笑い合えたあの頃に戻ったかのような、そんな2日間だった。
今でも鮮明に思い出せる。
輝いたあの日々が。
輝いた
おもむろに眼を閉じる。
数秒後に眼を開き、Aの深い紫の瞳を見据える。
僕の瞳の色は、鮮やかな赤と琥珀色に染まっているだろう。
「……！」
僕の瞳を見て、驚くA。
「…次会うときは敵同士だ。手加減はしない。親友ではなく、ライバルとして試合を迎えることを望んでいるよ。
それじゃあ、もう別れるとしようか」
Aは、笑った。
「…あぁ。ありがとう。
あっちの征十郎にも、お疲れ様って伝えといてよ。
俺がいる間は頑張って表に出てきてくれてたし、無理させちゃってたかも」
「その心配は必要無いな。
だが僕の方から伝えておくよ。礼を言う」
「…あぁ。
それじゃあ、征十郎。
_____勝つからな」
Aが、すっと拳を差し出す。
「_____拳を合わせるのは一回きりだ。
僕が負けることは、ありえない。
僕が勝利を手にする」
拳と拳がぶつかり合う音がする。
最後は、何も言わずにその場を去った。
手を振り続けるA達を見て、小さく微笑み東京を発った。
「……次に会うのを楽しみにしているよ、A」
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年10月16日 15時
