119【過去と面影】 ページ46
「(毎日つまんないな)」
E組に来て1週間。
他のクラスメイトは暗殺に参戦しているようだけど、俺は別だ。
「……っ」
クラスメイトがナイフを振るたび、ドクンと心臓が大きく高鳴る。
俺に刃を向けているわけじゃないと分かっているのに、震えが止まらなくなる。
幼い頃の情景が思い浮かんで吐き気がした。
「(もう嫌だ、こんな教室大嫌いだ)」
地球を救う為、と言いながら教師を殺めようとするこの人たちの気持ちが分からない。
その刃の先が肌を切り裂くと、とてつもなく痛いことを俺は知っている。
消えない痣や傷口を撫でて、顔をしかめた。
「(早く…ッ家に帰りたい)」
これでも、感情を隠すのは上手くなったんだ。
勘付かれぬよう無表情を貫いて、教室の隅で静かに呼吸をする。
そうすればこの時間は終わるんだから。
痛みを思い出さなくて済むんだから。
ぎゅっと手首を握って、溢れそうな恐怖を押し殺した。
「白岸くん、本当に暗殺に参加しないの？」
「…そうだよ」
「…どうして？」
「何で君に話さなきゃいけないの。俺は他人と馴れ合う気も、人を殺す気も無い」
「……そっ、か」
確か、この人の名前は潮田渚。
水色の髪の毛で、背は俺よりちょい低い。
「(出会って1週間なんて、まだ初対面と同じようなもんなのに)」
人とは馴れ合いたくない。
アヤノお姉ちゃんがいなくなったときから、俺は変わってしまった。
これが最善なのだと。
これが正解なのだと。
人とは関わらず、大切な人を突き放して、1人で生きていこうと決めた。
メカクシ団のみんなとは必然的に馴れ合うことになってしまうけど、まあ仕方ないかなと思う。
みんなが幸せなら、俺の幸せはいらない。
「……で。さっきから何なの、殺せんせー」
「にゅやっ！？ば、バレていましたか…」
「分かりやすすぎ。窓の外から見つめてたら普通バレるだろ………で。何の用ですか」
窓の外からひょっこりと顔を出す殺せんせー。
先程から視線がウザかったから、我慢できなくて声を掛けてみた。
先生は外から俺に話しかける。
「……Aくん、放課後はあいていますか？」
「は？……ん、まあ空いてるっちゃ空いてるけど」
「なら良かった。先生、Aくんに話したいことがあるんです。放課後残ってもらっても大丈夫でしょうか」
「……手短に済ませてね」
「了解です」
それだけ言って、先生は窓の外からマッハで姿を消した。
……放課後、かぁ。
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赤紅 (あかべに)(プロフ) - 鯉さん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します> < (2016年8月21日 19時) (
レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉(プロフ) - この小説は大好きです!! これからも更新頑張ってください!! (2016年8月21日 19時) (レス) id: 586c815007 (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 零07*さん» うああ、ありがとうございますっ…！すごく嬉しいです>< 頑張って更新します！ (2016年8月9日 20時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
零07* - この小説めちゃくちゃ面白いですね！！続きが楽しみです (2016年8月9日 16時) (レス) id: 6b42d2d23c (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - カルマくん、テツくん、キド大好き人間さん» あああコメントありがとうございます！！涙腺崩壊とか笑ったとか本当に嬉しいです…>//< 応援ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2016年8月7日 4時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年7月9日 5時
