117【過去と面影】 ページ44
電話越し、微かだけどお姉ちゃんとお父さんの声がする。
いや……
「____ちが、う」
違う。
こんな人知らない。
「お父さん……じゃない…」
電話の向こうにいるのは本物のお父さんだ。
だけどこれは俺の知ってるお父さんじゃない。
性格も口調も、前のお父さんとは全くの別人だ。
人格だけが入れ替わっている、と言えばいいのだろうか。
『お父さんはッ貴音さんも、遥さんもっ…家族のみんなも、殺そうとしたりしない！！』
電話越しにお姉ちゃんの声が聞こえた。
カノが息を震わせている音も、こちらに全て聞こえている。
「(___殺そうとした？)」
お父さんが、遥さんと貴音さんを？
家族のみんなを？
「……どう、いうこと…」
「……A？」
心配そうに俺の顔を覗く高尾の声は、俺に届いてはいなかった。
「(殺そうとしたって…貴音さんと遥さんはまだ生きてるってこと？)」
なん、で。
何で気が付かなかったんだろう。
自分のことで精一杯で、気がつくことすら出来なかった。
父の異変に、友人の異常に、家族の心情に、
自分の崩壊に。
『まあ確かにそうだ…こいつはそんなこと望んじゃあいない。……しかし、お前ら人間にはつくづく呆れるぜ』
こいつはお父さんじゃない
『あーAとかいったやつ？彼奴も馬鹿だよなぁ…俺の存在に気がつかないなんて』
もうやめてくれ
『Aはもう諦めろ。彼奴は精神的にズタボロにされている……きっと直りゃあしねぇ。それなら殺しちまったほうが楽だろ？』
お父さんの声でそんな汚いことを言うな
「……行かなきゃ」
気が付いたら、足が勝手に動いていた。
今行けば「偽物」に殺されるかもしれない。だけど、他の人を失うよりずっとずっと良かった。
先輩はそんな俺を止める。
「え…ちょ、A？何処行くんだ？もう休憩は終わり……」
「すいません抜けます」
「は！？いや何言って…」
「待ってください」
先輩達の言葉を遮り、前に出た者が1人。
「………高、尾？」
その声の主は高尾だった。
俺の肩に手を置き、真剣な表情で語りかける。
「A、早く行ってこい。大切な家族なんだろ」
「ッ……！！」
ああ、こいつは本当に_____
「ありがとっ……行ってくる！！」
「っおう！」
「ちょ、A！？練習は…」
「…センパイ、今は見逃してやって」
「「今行かないと彼奴／俺は絶対後悔する」」
.
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赤紅 (あかべに)(プロフ) - 鯉さん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します> < (2016年8月21日 19時) (
レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉(プロフ) - この小説は大好きです!! これからも更新頑張ってください!! (2016年8月21日 19時) (レス) id: 586c815007 (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 零07*さん» うああ、ありがとうございますっ…！すごく嬉しいです>< 頑張って更新します！ (2016年8月9日 20時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
零07* - この小説めちゃくちゃ面白いですね！！続きが楽しみです (2016年8月9日 16時) (レス) id: 6b42d2d23c (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - カルマくん、テツくん、キド大好き人間さん» あああコメントありがとうございます！！涙腺崩壊とか笑ったとか本当に嬉しいです…>//< 応援ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2016年8月7日 4時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年7月9日 5時
