110【過去と面影】 ページ37
「い、いいんですか？」
「なんだろう…なんだか今すぐ行きたい気分なの」
僕が困惑していると、女の子は「ダメ？」と聞いてきた。
いやむしろ嬉しいです。
「そうと決まったら準備しなくっちゃ。ちょっと待っててね！」
女の子はパタパタと部屋の奥へ進んでいく。
一人になった僕は、邪魔にならないようにと家の外へ出る。
「(…皆になんて説明しよう)」
青い空を見上げる。
雑音も、悪口も、何一つない森。
「(世界って、こんなに静かだったんだ___)」
.
「…た、ただいまー…」
我が家へと帰る。
もちろん、女の子も連れて。
僕達を見て驚いた4人は、ぽかんと口を開けて立ち尽くしている。
「い、いきなり帰ってきたかと思ったら…これは一体どういう…」
「えっと…どこから説明すればいいのやら…」
女の子は震えながらも、期待に胸を躍らせているようだった。
ぎゅっとフードで顔を隠す。
真っ赤な目を見たお姉ちゃんは、あっと何かに気が付いたように話し出す。
「もしかして『メカクシ団』！？」
「え」
「そ、そうそう！新入団員って感じで…」
「は！？なに言ってんだ！っていうかそもそもこの子は一体…」
「ね、名前は？」
ぐい、とカノを押し退けて話すお姉ちゃん。
そういえば、僕もまだ名前を知らない。
女の子は下を向いたまま恥ずかしそうに話した。
「…マリー……ですっ…」
お姉ちゃんは、にこっと笑って見せる。
「ようこそ、メカクシ団へ！」
.
「にしてもビックリしたなー…幸助が女の子連れて帰ってくるなんて…」
「な、A変な言い方しないでよ！」
「えーだってそうだろ？しかもこんな可愛い子。事情は分かったけど俺だって頑張って捜してたんだからな！」
「う…ご、ごめん…」
「無事に帰って来たから許す」
幸助が帰って来てから数時間。
幸助が連れてきた女の子の名前はマリーというらしい。
肌も髪も白いから、赤い目が物凄く目立つ。
人見知りなのかずっと俯きっぱなし。でも、数時間前よりは大分落ち着いた気がする。
「これからよろしくな、マリー」
「え、あ、はいっ…えと…A…さん？」
「さん付けしなくていいよ。普通に呼び捨てで呼んで？」
「あ、じゃあえっと…A…よろしくねっ」
「うん、よろしく」
やっぱりまだ人は慣れないみたいだ。
けど、これから少しずつ『家族』になっていけばいい。
「(征十郎にも、新しい家族が出来たって教えないとな)」
一人で小さく笑った。
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赤紅 (あかべに)(プロフ) - 鯉さん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します> < (2016年8月21日 19時) (
レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉(プロフ) - この小説は大好きです!! これからも更新頑張ってください!! (2016年8月21日 19時) (レス) id: 586c815007 (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 零07*さん» うああ、ありがとうございますっ…！すごく嬉しいです>< 頑張って更新します！ (2016年8月9日 20時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
零07* - この小説めちゃくちゃ面白いですね！！続きが楽しみです (2016年8月9日 16時) (レス) id: 6b42d2d23c (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - カルマくん、テツくん、キド大好き人間さん» あああコメントありがとうございます！！涙腺崩壊とか笑ったとか本当に嬉しいです…>//< 応援ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2016年8月7日 4時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年7月9日 5時
