109【過去と面影】 ページ36
.
「でも何か訳わかんないこと言ってますよ？君のこと”化け物”だとか”アザミの子孫”だとか…」
こんな可愛い子に「化け物」だなんて、いくら長さんでも酷すぎる。
それに「アザミの子孫」って何が……
「…アザミって私のおばあちゃんの名前だ」
「……え？」
アザミの子孫…おばあちゃん……？
え…え！？てことは…
「お、おばあちゃん！？でもさっきの感じだと、長さんその人のこと『化け物』って言ってましたけど…」
「うーん…おばあちゃんのことかなぁ？おばあちゃん魔法みたいな力も使えたみたいだし…」
女の子は笑顔で話していた。
そ、それってつまり…
「(こ、この子が長さんの言っていた化け物ってこと…！？)」
僕を見ながら笑顔で首をかしげる女の子。
それを見ると「化け物」だなんて信じられなくなる。
「(こんな可愛らしい子が化け物だなんて…！)」
僕が顔を赤くしながら悶えていると、長さんは話を再開した。
『___それで、お前はどうするつもりなのだ』
「…え」
『代々この森では「赤い目を持つ者』は畏怖の象徴として扱われてきた。古い伝承とはいえ未だにそれを信じる者も少なくない。
お前がそやつを連れてここを出ようというのなら、当然その「赤い目」を恐れる者も出てくるだろう』
その話を聞いてハッとする。
「……ちょっと待ってください……じゃあこの子はずっとここにいなくちゃダメってことですか？」
『………』
長さんは黙り込む。
そんな、そんな話があってたまるか。
この子はずっとここで暮らしていたんだ。
人目につかない森の奥で、たった一人で寂しい思いをしていたというのに。
これから先もずっと一人でいなくちゃならないなんて。
「赤い目……」
心配そうにこちらを見つめる女の子。
___助けてあげたいと思った。
バサッと僕が着ていたフード付きのパーカーを女の子に被せる。
赤い目は隠れてほぼ見えない。
「……これでどうですか」
目の赤みが引けていくのが分かった。
長さんはゆっくりと後ろを向き、森の奥へと進んで行く。
「え…ち、ちょっと待ってください！もっと話を…」
「…ﾁﾁｯ」
___長さんの声は、もう聞こえなくなっていた。
.
「い、行っちゃった…」
長さんの姿はもう見えない。
「私連れて行かれちゃうの？」
「え、いやっもちろん君次第というか…というか今すぐじゃなくても…」
そう言うと女の子はクスッと笑う。
「うぅん、今すぐ行きたい！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 鯉さん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します> < (2016年8月21日 19時) (
レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉(プロフ) - この小説は大好きです!! これからも更新頑張ってください!! (2016年8月21日 19時) (レス) id: 586c815007 (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 零07*さん» うああ、ありがとうございますっ…！すごく嬉しいです>< 頑張って更新します！ (2016年8月9日 20時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
零07* - この小説めちゃくちゃ面白いですね！！続きが楽しみです (2016年8月9日 16時) (レス) id: 6b42d2d23c (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - カルマくん、テツくん、キド大好き人間さん» あああコメントありがとうございます！！涙腺崩壊とか笑ったとか本当に嬉しいです…>//< 応援ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2016年8月7日 4時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年7月9日 5時
