107【過去と面影】 ページ34
そこでハッと気がつく。
ドアの外で人の声がしていたことに。
「っ…！」
さっき見た夢を思い出す。
「人」にお母さんを奪われた昔の出来事。
私も髪を引っ張られて「化け物」と言われた。だけどそれより辛かったのは、お母さんを失ってしまったことだった。
もう、人になんか会いたくないのに。
ドアがノックされる。
驚いて立ち上がってしまい、慌てて部屋の隅に逃げ込もうとする。
「なんで！？今日まで人が来たことなんてなかったのに…！っあ、」
急ぎすぎたせいか、足の指を机にぶつけてしまう。転んでしまったのと同時にお茶が溢れて、本がバサバサと床に落ちた。
「いたた…」
そのとき、ガチャッとドアノブが回される。
「(ダメ…人が来ちゃう…っ！)」
目を隠しながら、床に座り込む。
ゆっくりとドアが開けられ、部屋の中が明るくなる。
「……大丈夫？」
少しだけ手を退けて、声の主の男の子を見た。
スッと、手を差し出される。
「泣いてたの、君だよね？」
.
「あ、あの…」
「ひっ…！」
声の主を辿っていたら、この家に辿り着いた。ドアを開けてみると、涙目で白くてふわふわした女の子が座り込んでいた。
僕に怯えてるみたい…なんだけど…
「か、帰って…どっか行ってぇ！！」
「えっ！？」
……物凄く怯えてる…というか警戒されてる……！？
「いやっそう言われても…」
どうしよう。
ビックリさせちゃったかな……
「(それにしても…)」
こんな森の中に家があるなんて…
しかも女の子が一人ってどういうことだろう。
さっきの「助けて」って心の声も、今は聞こえないけどやっぱりこの子の声だ。
一体何があったんだろう…
「(も、もしかして長さんの言ってた”化け物”に襲われたとか…？)」
もしそうだとしたら……
「あ、あなたも酷いことするんでしょ！？早く出てって…！」
「(やっぱり化け物に！？)」
ど、どうしよう…！とにかくまずはこの子を落ち着かせなきゃ…
「ぼ、僕は酷いことしたりしないです！そんなことより早く出ないと！」
「うそ！！そうやって騙そうとしてるんでしょ！？ひっかからないもん！」
「で…でもっこのままここにいたら危ないですよ！！一緒に外に…」
そう言うと女の子はピクッと反応する。
目を輝かせて顔を上げた。
「お…お外…？」
「そうです。ここで一人でいるよりずっと安全ですよ！だから……」
女の子は一瞬嬉しそうにしたが、直ぐに顔を曇らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 鯉さん» コメントありがとうございます…！そう言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張りますのでどうぞ宜しくお願い致します> < (2016年8月21日 19時) (
レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉(プロフ) - この小説は大好きです!! これからも更新頑張ってください!! (2016年8月21日 19時) (レス) id: 586c815007 (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - 零07*さん» うああ、ありがとうございますっ…！すごく嬉しいです>< 頑張って更新します！ (2016年8月9日 20時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
零07* - この小説めちゃくちゃ面白いですね！！続きが楽しみです (2016年8月9日 16時) (レス) id: 6b42d2d23c (このIDを非表示/違反報告)
赤紅 (あかべに)(プロフ) - カルマくん、テツくん、キド大好き人間さん» あああコメントありがとうございます！！涙腺崩壊とか笑ったとか本当に嬉しいです…>//< 応援ありがとうございます。これからも頑張ります！！ (2016年8月7日 4時) (レス) id: 6473e5a0d8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤紅 (あかべに) | 作成日時：2016年7月9日 5時
