タナトス@DS. ページ2
「死にたいの？」
『それも分からない。』
唐突にそう投げつけられても分からない。
生きたいのか死にたいのか。
ふと突然襲ってくる猛烈な寂しさと悲しさは、一体何を表してるのか自分では到底理解ができない。
自分の感情なのに自分では分からない。
「じゃあ生きるしかないな。」
『それも何か納得いかない。』
なんでこんな事を聞かれるかって。
出会って最初の一言が、
「君って、生きてるのか死んでるのか分からへん。」
ってその一言だった。
じゃあ教えてよ。
私は生きてるのか死んでるのか。
そんな会話から始まったけれども。
結局彼は私が生きてるか死んでるかなんて教えてくれやしない。
生きててほしいのか死んでほしいのか。
それすらも分からない。
「息するのって疲れるなぁ。」
『じゃあしなければ良いよ。』
「そしたら死んでまうわ。」
『死ぬのは嫌なの？』
「だって、Aと離れ離れになるやんか。」
そっか。
1人、になってしまうのか。
彼が死んでも、私が死んでも。
どちらかが1人になってしまうのか。
なら「今」しかないのか。
1人じゃないこの場所は。
『1人は怖いもんね。』
「せやな。でも今は1人やない。」
『じゃあ一緒に息をしよう。生きてみよう。』
「それはいいかもしらんな。」
『その代わり、死ぬのも一緒にしよう。
そうすれば1人になる事はないよ。』
「死ぬのは俺の計画にはないけど。」
『そっか。じゃあまず生きることだけ考えてみる。』
「それはいい案やな。」
そうやって、ニカッて笑った。
1人じゃないのはとても素敵なことだ。
それは奇跡にも近い気がする。
この時間がいつまで続くか分からない。
だからその分大切にしないと。
しっかり息をしないといけないのだ。
生きるのって死ぬのってとても難しい。
でも必死に藻掻いてみるのもいいのかもしれない。
息を吸って吐いて。
明日を信じてみてもいいのかもしれない。
ーFin.ー
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作者名：東條れいな | 作成日時：2018年7月18日 22時
