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井戸のある場所 ページ5

説明し終え、トーヤはマスターに頼んだ。

「お願いです!咲良を探して下さい!」
「面倒だから嫌です」

平然と返して、マスターはため息をつく。

「面倒って!解決してくれるんじゃ……」
「何を勘違いしてるか知りませんが……ここは普通のバーですよ」
「いやいや、あんな思わせぶりな事言っておいて違うはずないでしょ!?頼みますよ!」

土下座しそうな勢いのトーヤに、黄泉は呆れ顔で

「話は聞くって言ったんだし、願いを叶えてあげても良いんじゃない?クロエ」

マスターことクロエは首を振る。

「面白そうとは思いましたが……報酬も無しで働くのはねぇ」
「トーヤくん、お菓子持ってる?」
「え?いや、持ってないです……」

唐突に訊かれ、トーヤは戸惑う。

「で、でも出来る限りの事はしますよ!報酬は……あ!田舎の婆ちゃんが作ってくれたお餅、あれ凄く美味しいんですよ!それで良かったらいくらでも」

クロエが、ピクッと反応した。

「……餅?」
「はい!餡で包んであって、凄く甘いですよ!」

何やら考え込んだクロエに、黄泉がもう一押し。

「報酬、分けなくて良いよ。譲るよ」
「……まぁ、悪くはない話ですね」

良かった……!と安心するトーヤと黄泉に、クロエは言った。

「それじゃ、さっそく行きましょうか」
「はい!でも、どこへ行くんです?」

黄泉が、トーヤの問いに答えた。

「ヒント!井戸のある所だよ!」
「井戸……?」



辿り着いたのは灰色屋根の一軒家。

“土井”という表札を見て、トーヤは納得した。

「それで井戸か。……あの、ここは誰の……?」
「すみません、いらっしゃいますかー」

マスターが呼びかける。しばしの無言の後、インターホンから声が返って来た。

『……はい』
「私です、少し話が――」
『お断りします』
「まだ何も言ってませんよ」

マスターは呆れ顔。後ろから黄泉が話しかける。

「やっほー!久しぶり!」
『……!!その声は、黄泉さん!?』

ドア越しの相手は動揺した様子。

「ちょっと頼みたい事があって!」
『でも……どうせまた、能力を使えって言うんでしょ?』
「そうなんだよー!また依頼人が来て。引き受けてくれるよね?」

一瞬躊躇った後、相手はため息をつく。

『……分かったよ』
「ありがとうございます、お邪魔しても?」
『良いけど、クロエの為じゃない。黄泉さんの為だからな』

冷たく言ってドアを開けたのは、グレーのジャージを着たボサボサ頭の少年だった。

「どうぞ」

HYDE少年→←事の発端


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作品ジャンル:ファンタジー
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くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます!!これからもよろしくお願い致します♪ (2019年4月26日 19時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
奈狐(プロフ) - 語彙力が凄く羨ましくです…面白いですね! (2019年4月26日 19時) (レス) id: 70cd26f670 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます!!嬉しいです……!! (2019年4月22日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたそ(プロフ) - 私の小説より面白いです。語彙力あってうらやましいZ!(*≧∇≦)ノ (2019年4月21日 18時) (レス) id: 0d77839cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/ilodoli/ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろーさぎ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月9日 22時

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