事の発端 ページ4
男はカウンターに、1枚の写真を置いた。
淡いピンク色のワンピースを着た、少女の写真。
「彼女は
「恋人？」
黄泉の台詞に「ち、違います！！」と首を振る。
「じゃあ攫って来たとか」
「違いますよ……親戚の子供です」
まぁ、成人男性が小学校低学年ほどの少女を連れていたら、誤解されても仕方ないが。
「1週間前、急にいなくなったんです。探してもどこにもいなくて。多分……攫われたんじゃ」
「警察には行った？」
男は首を横に振った。「いえ。……ちょっと事情があって」
「まぁ“事情”ってのはおいおい聞くとして、それがここへ来た理由？」
「はい。ネットで偶然見つけたんです、或る噂」
或る“裏のある”バーの話。表沙汰に出来ない事件も解決してくれるという、都市伝説じみた店。その噂を元に、男はバー･IRODORIに辿り着いた。
「ここが本当にその店かは知りません。でも貴方達を見たら、そうなんじゃないかって……」
「なるほどねぇ。ま、ここがその噂の店かは置いといて……マスターはどうする気なの？」
マスターは男に「名前は？」と問う。
「え？あ……トーヤです」
なるほど、と呟く彼。何がなるほどなんだろうとトーヤは思う。
「咲良とトーヤかぁ……もう少し聞かせてよ」
黄泉に促され、トーヤは事の発端を話し始めた。
＊
トーヤは街中で、咲良を待っていた。
花が好きな彼女は、花屋を見かけるとすぐ入っていってしまった。
そこでトーヤも入ろうとして「お花は女の子のだから来ちゃ駄目！」と言われたのだ。
男女差別も甚だしいなと思いながら、ふと向かいにいる少年と、青年のやり取りを見ていた。
「なーなー、あれ欲しい！買って買ってー！」「駄目ですよ！？もう色々買ったでしょ！」
あの青年は世話を押し付けられてるらしい。大変そうだな。
「お待たせ、お兄ちゃん！」
振り返ると咲良がいた。
「終わったか。じゃ、帰るぞ」
「さっきね、見たことないお花があったよ！」
咲良の前を歩く彼は「そうか」とそっけなく返すだけ。
「素敵なお花だった！お兄ちゃんにも見せたかったなぁ。すごく綺麗な色――」
咲良の声が途切れた。
数歩進んで、トーヤは「……咲良？」と振り返る。そこに咲良の姿はない。
「咲良……？……おーい、咲良！」
ふと浮かんだ嫌な予感を振り払うように、呼びかけるが返事はない。
「どこ行ったんだよ……」
ふと足下を見下ろすと――
綺麗な桜色の花が咲いていた。
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くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます！！これからもよろしくお願い致します♪ (2019年4月26日 19時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
奈狐(プロフ) - 語彙力が凄く羨ましくです…面白いですね！ (2019年4月26日 19時) (レス) id: 70cd26f670 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます！！嬉しいです……！！ (2019年4月22日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたそ(プロフ) - 私の小説より面白いです。語彙力あってうらやましいＺ！(*≧∇≦)ﾉ (2019年4月21日 18時) (レス) id: 0d77839cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/ilodoli/ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
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