青年と少女は 後編 ページ17
「気がついたら俺は、咲良と一緒に街の外に居たんです。……不思議ですよね」
そう言った後、トーヤは一気にカクテルを飲む。何度試しても開かなかった街の大門。その外に、あの二人が送り出してくれたのかもしれない。
「仕方ないので、彼の言ってた“真紅の勇者”ってのを探そうと思ったんですが、家を借りたり色々してるうちに咲良がいなくなって……」
「小さな子供の面倒を見るのは大変でしょう？」
クロエさんも子供を育ててるんだもんな、と思いながら、トーヤは頷いた。
「ほんとにもう、大変ですよ。あいつ、街を出た途端わがままになりまして」
「ずっと閉じ込められていたんですから、無理もありませんね」
「それを言われると、そうなんですけど……でも今みたいに、すぐどっか行っちゃうんですよ」
咲良は先程も、トーヤの制止も聞かずにどこかへ行ってしまった。立って引き止めなかったトーヤにも非はあるのだが。
「……今まで閉じ込められてた事を考えると、自由にさせてやっても良いかって思っちゃうんですよね。もう少しちゃんとした方が良いのかな」
「咲良さんが色能者と言うなら大丈夫でしょう。それより、その“真紅の勇者”に心当たりは？」
トーヤは首を横に振った。
「色能者ですかね？だとしたら、色は紅色……」「赤でも通じると思いますが。その二人の子供の正体も気になるところです」
とか言いつつこの人は、何もかも分かっているんじゃないかと、トーヤは思う。クロエの周囲には他にも色能者がいるらしいし。
「あー、何か結構飲んじゃいましたね……ご馳走様でした。俺、そろそろ帰ろうかなと」
仮とはいえ、夜に住居を空けておくのは少し不安だ。咲良を見つけて早く帰ろう。
「ええ、二日酔いに気をつけて」
クロエはそう彼に言って、クスリと笑った。
＊
私は2階の廊下を、自室に向かって歩いていた。
(……あれ？)
一瞬、確かに一瞬だったが、私は誰かとすれ違ったのだ。桜色をした何か小さなものが、視界の端を通り過ぎた。
なのに振り向いた所には、ただ廊下が伸びているだけだった。
「……、……気のせいかな……」
脳裏をよぎりかけた“幽霊”の2文字を慌てて押し戻し、私は自室に入った。
途端に目に入って来るのは、ぐちゃぐちゃになった私の机。
「なっ、何これ……！？……ってまさか！！」
私はふと嫌な予感がして、開いたままの引き出しの中を探った。
「ない……ないっ……！！……どうしよう」
私は一人途方に暮れた……。
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くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます！！これからもよろしくお願い致します♪ (2019年4月26日 19時) (
レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
奈狐(プロフ) - 語彙力が凄く羨ましくです…面白いですね！ (2019年4月26日 19時) (レス) id: 70cd26f670 (このIDを非表示/違反報告)
くろーさぎ(プロフ) - ありがとうございます！！嬉しいです……！！ (2019年4月22日 16時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんたそ(プロフ) - 私の小説より面白いです。語彙力あってうらやましいＺ！(*≧∇≦)ﾉ (2019年4月21日 18時) (レス) id: 0d77839cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミーシャ - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/ilodoli/ (2019年4月13日 14時) (レス) id: 472ca3e356 (このIDを非表示/違反報告)
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