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暗い顔で登場した俺に満面の笑みのタカヒロさん。
もう完全に俺をからかう気満々でいるのがわかるだけに、挨拶するのすら悔しい。
「すっごい顔してるね!」
「タカヒロさん変わりに飛んでください」
「絶対ヤダ♡」
デスヨネー。
「あー……飛びたくねー」
「しかも来週からバイクのシーンも増えるしね。
困ったもんだね」
自分だってバイクに乗るくせに完全他人事のように話してるタカヒロさんが楽観的でマジ羨ましいわ。
飛ぶのも無理だしバイクも無理。
まあ実際は乗るって言っても単純走行のみで、危険なシーンはスタントマンさにお願いする。
「てか、なんで今日のシーンはスタントマンさんいないわけ!?」
思わず叫んだ俺に、"え?いますよ?"なんていう誰かの声。
思わず振り返れば、今まさに俺にメイクをしようとしてくれているメイクさんが不思議そうな顔でこっちを見ていた。
「スタントマンさん、もう練習で飛んでますよ」
「え?」
聞かされていなかった事実に驚きすぎて、メイクもせずに現場に飛び出した。
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ゆうき(プロフ) - 面白いです。更新、楽しみにしてます。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 56d6dad4f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:IL(イル) | 作成日時:2019年10月31日 14時