〇ツリメ : 俺のだからね！ ページ15
▽
「よーし」
鍵と携帯とお財布とハンカチとリップ...うん、大丈夫。
まぁ忘れ物があっても、ほんの数時間だし平気か。
「じゃあ、いってくるね」
動物の赤ちゃん特集のテレビを見ている彼の背中に言う。
すると、彼はクルリと振り向いて首を傾げた。
『どこ行くの？コンビニなら着いてくよ』
「あれ？言わなかったっけ？今日同窓会なの」
"えー！聞いてないよ！" と立ち上がった彼はソファを飛び越えて正面に来た。
背の高い彼と目線を合わせるには、いつも顔を上げる。
「言ってなかったか...ごめんごめん、でもそういう事だから、もう行くね」
数歩歩いてすぐに辿り着いた玄関。
電車いつ出るんだっけ...そんな考え事をしていると、
「...わ、」
衝動で前のめりになるくらいの勢いで、彼が私を後ろから抱き締めた。
可愛い顔や行動とは裏腹に、ぎゅう...と肩に回される腕が、温かくて強くて、男らしい。
「どうしたの、」
『...行かないでよ〜、』
幼稚園児が駄々をこねるような言い方。
甘いけど低い声が、耳元でかすれる。
「なぁに？ひとりじゃ怖い？」
彼がそれを否定したことは、
ふわふわな髪の毛が、私の首元で横揺したことで気が付いた。
それと、小さな声で"違う"と言ったことも。
『怖くないよ、でもAが取られちゃうかもしれないでしょ...そっちの方が怖い』
ブツブツ呟く彼の手を緩くほどいて振り向くと、拗ねたような唇に、落ち込んだような目をした彼の顔があった。
「取られるわけないじゃん」
そうやって笑うと、いつもみたいに"まぁ、そうだよね"って笑い返してくれる。
と思ってたけど。
彼は何も言わずにただ顔を近づけて、私にキスをした。
肩に置かれた手がガッシリしていて、逃げようにも逃げられない。
「みっくん...？」
『他の男に惚れない？』
強い言い方じゃない。
眉を下げて、様子を見るかのように優しく小さくそう言った。
「惚れるわけないじゃん、みっくんだけだよ」
恋愛映画なんかで聞いたことあるような台詞だけど、本当に本当に惚れるわけがない。
だって、こんなに大好きな人が私の彼氏なんだよ？
久しぶりに会うクラスメイトにも自慢するつもりでいる。
『うわああん』
「おおお〜〜、よしよし」
大きな体が、今度は正面から私を包み込んだ。
彼をあやすように、背中に手を置いてポンポンと叩いてあげる。
▷つづく
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すず(プロフ) - ゆちゃんさん» ですよね！！ 応援してます！！ (2018年9月22日 11時) (
レス) id: 1fef1d4085 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃん(プロフ) - すずさん» ほんとにそれです...！頑張ります！ご意見ありがとうございました(＞＜) (2018年9月22日 11時) (レス) id: 28a469272e (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ゆちゃんさん» 畑のほのぼのした感じいいですよね！！ うれしいです！！ 楽しみにしてますね！ (2018年9月22日 11時) (レス) id: 1fef1d4085 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちゃん(プロフ) - すずさん» いつもありがとうございます！畑視聴者さんがいてくれて良かったです〜〜(泣)ありがとうございます！書く方向でいきます！ (2018年9月22日 11時) (レス) id: 28a469272e (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - こんにちは！！いつも楽しく読ませてもらってます! 畑もぜひかいてくれると嬉しいです！！ (2018年9月22日 11時) (レス) id: 1fef1d4085 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちゃん | 作成日時：2018年8月28日 11時
